文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

フランス文学

パトリック・モディアノ『暗いブティック通り』

パトリック・モディアノ 平岡篤頼訳 『暗いブティック通り』 白水社 パトリック・モディアノ(1945-)の『暗いブティック通り』を読了しました。ゴンクール賞の受賞作品である本書が発表されたのは1978年。日本ではその翌年に邦訳が出版されていますが、韓国…

ミシェル・ウエルベック『プラットフォーム』

ミシェル・ウエルベック 中村佳子訳 『プラットフォーム』 河出文庫 ミシェル・ウエルベック(1957-)の『プラットフォーム』を読了しました。2000年の『ランサローテ島』に続いて2001年に発表された本書で、ウエルベックが選んだのは「セックス観光」という…

フランソワ・ラブレー『第五之書 パンタグリュエル物語』

フランソワ・ラブレー 渡辺一夫訳 『第五之書 パンタグリュエル物語』 岩波文庫 フランソワ・ラブレー(1483?-1553)の『第五之書 パンタグリュエル物語』を読了しました。偽書という説も有力とされる本書では、ストーリー上は第四之書に記された航海の旅の…

フランソワ・ラブレー『第四之書 パンタグリュエル物語』

フランソワ・ラブレー 渡辺一夫訳 『第四之書 パンタグリュエル物語』 岩波文庫 フランソワ・ラブレー(1483?-1553)の『第四之書 パンタグリュエル物語』を読了しました。本書ではパニュルジュの結婚に関する神託を求めて航海の旅に出たパンタグリュエル一…

フランソワ・ラブレー『第三之書 パンタグリュエル物語』

フランソワ・ラブレー 渡辺一夫訳 『第三之書 パンタグリュエル物語』 岩波文庫 フランソワ・ラブレー(1483?-1553)の『第三之書 パンタグリュエル物語』を読了しました。このルネサンス期文学の古典も本作で三作目となります。第一之書と第二之書(実際の…

フランソワ・ラブレー『第二之書 パンタグリュエル物語』

フランソワ・ラブレー 渡辺一夫訳 『第二之書 パンタグリュエル物語』 岩波文庫 フランソワ・ラブレー(1483?-1553)の『第二之書 パンタグリュエル物語』を読了しました。実際には『第一之書』に先行して書かれたとされる本書は、第一之書の主人公であるガ…

アベ・プレヴォー『マノン・レスコー』

アベ・プレヴォー 青柳瑞穂訳 『マノン・レスコー』 新潮文庫 アベ・プレヴォー(1697-1763)の『マノン・レスコー』を読了しました。18世紀フランスの作家であるアベ・プレヴォーは100冊以上もの本を著した多作家だそうですが、今日に至るまで読み継がれて…

フランソワ・ラブレー『第一之書 ガルガンチュワ物語』

フランソワ・ラブレー 渡辺一夫訳 『第一之書 ガルガンチュワ物語』 岩波文庫 フランソワ・ラブレー(1483?-1553)の『第一之書 ガルガンチュワ物語』を読了しました。フランス・ルネサンス時代の作家ラブレーの手による巨人物語。本書には「第一之書」とい…

ピエール・ルメートル『天国でまた会おう』

ピエール・ルメートル 平岡敦訳 『天国でまた会おう』 ハヤカワ文庫 ピエール・ルメートル(1951-)の『天国でまた会おう』を読了しました。『その女アレックス』などのミステリー作品が日本でもヒットしたフランスの作家ルメートルが著した「文芸作品」(い…

レーモン・クノー『地下鉄のザジ』

レーモン・クノー 生田耕作訳 『地下鉄のザジ』 中公文庫 レーモン・クノー(1903-1976)の『地下鉄のザジ』を読了しました。フランス文学のいわゆる「ヌーヴォー・ロマン」や「ウリポ」の先駆的存在として有名なクノーは『文体練習』などの作品が有名ですが…

フローベール『感情教育』

フローベール 生島遼一訳 『感情教育』 岩波文庫 フローベール(1821-1880)の『感情教育』を読了しました。本書は『ボヴァリー夫人』、『サランボー』に続くフローベールにとって三作目となる長編小説。二月革命(1848)前後のパリを舞台にした青年フレデリ…

ミシェル・ウエルベック『ランサローテ島』

ミシェル・ウエルベック 野崎歓訳 『ランサローテ島』 河出書房新社 ミシェル・ウエルベック(1957-)の『ランサローテ島』を読了しました。本書はウエルベックが『素粒子』に続いて発表した短編小説です。2000年に発表された本書は、ウエルベック自身が実際…

ミシェル・ウエルベック『闘争領域の拡大』

ミシェル・ウエルベック 中村佳子訳 『闘争領域の拡大』 河出文庫 ミシェル・ウエルベック(1958-)の『闘争領域の拡大』を読了しました。奇妙なタイトルを持つ本書はウエルベックが初めて発表した小説で、どちらかというと中編小説というべき長さの作品です…

J・M・G・ル・クレジオ『大洪水』

J・M・G・ル・クレジオ 望月芳郎訳 『大洪水』 河出文庫 J・M・G・ル・クレジオ(1940-)の『大洪水』を読了しました。本書は彼のデビュー作である『調書』以前い書き始められたと言われる初期の長編作品です。「初めに雲があった」という言葉から始まるプロ…

ユルスナール『とどめの一撃』

ユルスナール 岩崎力訳 『とどめの一撃』 岩波文庫 ユルスナール(1903-87)の『とどめの一撃』を読了しました。ユルスナールの作品を読むのは今回が初めてです。ユルスナールのおよそ20歳年長であるヴァージニア・ウルフが『自分だけの部屋』の中で、その時…

サド『短編集 恋の罪』

サド 植田祐次訳 『短編集 恋の罪』 岩波文庫 サド(1740-1814)の『短編集 恋の罪』を読了しました。「サディズム」という言葉の由来となったといわれているフランス貴族、マルキ・ド・サドの短編選集です。本書カバーに描かれた解説によれば、本作に収録さ…

パトリック・モディアノ『さびしい宝石』

パトリック・モディアノ 白井成雄訳 『さびしい宝石』 作品社 パトリック・モディアノ(1945-)の『さびしい宝石』を読了しました。原題は“La petite bijou”で直訳だと「小さな宝石」となります。モディアノはナチス占領下時代のパリ(のみ)を舞台に作品を…

アンドレ・ジイド『贋金つくり』

アンドレ・ジイド 川口篤訳 『贋金つくり』 岩波文庫 アンドレ・ジイド(1869-1951)の『贋金つくり』を読了しました。ジッド(という表記の方がなじみがあるのでこうしますが)といえば『狭き門』など、思想的な清貧を前面に出した作風という勝手な思い込み…

エドモン・ロスタン『シラノ・ド・ベルジュラック』

エドモン・ロスタン 辰野隆・鈴木信太郎訳 『シラノ・ド・ベルジュラック』 岩波文庫 エドモン・ロスタン(1868-1918)の『シラノ・ド・ベルジュラック』を読了しました。パリ中を興奮させたといわれる初演から始まって、世界各国で繰り返し上演されている大…

シャルル・ペロー『眠れる森の美女』

シャルル・ペロー 村松潔訳 『眠れる森の美女』 新潮文庫 シャルル・ペロー(1628-1703)の『眠れる森の美女』を読了しました。表題作である「眠れる森の美女」、「赤頭巾ちゃん」、「青ひげ」、「サンドリヨンまたは小さなガラスの靴」(シンデレラ)など、…

エミール・ゾラ『ジェルミナール』

エミール・ゾラ 安士正夫訳 『ジェルミナール』 岩波文庫 エミール・ゾラ(1840-1902)の『ジェルミナール』を読了しました。ゾラの「ルーゴン・マッカール叢書」の一冊である作品で、『居酒屋』、『ナナ』、『獣人』に続いて私が読むのは本作で四冊目となり…

コクトー『恐るべき子供たち』

コクトー 中条省平・中条志穂訳 『恐るべき子供たち』 光文社古典新訳文庫 ジャン・コクトー(1889-1963)の『恐るべき子供たち』を読了しました。フランスの詩人であり作家であるコクトーの書いた「アンファン・テリブル」は、中学生か高校生の頃だったか、…

ロブ=グリエ『消しゴム』

ロブ=グリエ 中条省平訳 『消しゴム』 光文社古典新訳文庫 ロブ=グリエ(1922-2008)の『消しゴム』を読了しました。戦後フランスの文学運動「ヌーヴォー・ロマン」の旗手であるロブ=グリエの初長編作品です。丁寧な訳者解説と相まって、ヌーヴォー・ロマン…

ギュスターヴ・フローベール『ボヴァリー夫人』

ギュスターヴ・フローベール 芳川泰久訳 『ボヴァリー夫人』 新潮文庫 ギュスターヴ・フローベール(1821-1880)の『ボヴァリー夫人』を読了しました。大学時代に読んだのは、たしか岩波文庫の翻訳だったと思うのですが、今回は新潮文庫スタークラシックスの…

コレット『青い麦』

コレット 河野万里子訳 『青い麦』 光文社古典新訳文庫 コレット(1873-1954)の『青い麦』を読了しました。性の解放を謳って、その作品のみならず、私生活においてもそのテーゼを体現したかのようなシドニー=ガブリエル・コレットですが、その代表作のひと…

アゴタ・クリストフ『第三の嘘』

アゴタ・クリストフ 堀茂樹訳 『第三の嘘』 ハヤカワ文庫 アゴタ・クリストフ(1935-2011)の『第三の嘘』を読了しました。『悪童日記』と『ふたりの証拠』とあわせて三部作を成している作品です。本書の原題は“Le Troisième Mensonge”で『第三の嘘』という…

エミール・ゾラ『獣人』

エミール・ゾラ 川口篤訳 『獣人』 岩波文庫 エミール・ゾラ(1840-1902)の『獣人』を読了しました。この岩波文庫の翻訳は初版が1953年の出版で、旧字体で書かれています。2018年春の復刊で6刷目のようです。全20作からなるというルーゴン・マッカール叢書…

アンドレ・ジイド『狭き門』

アンドレ・ジイド 川口篤訳 『狭き門』 岩波文庫 アンドレ・ジイド(1869-1951)の『狭き門』を読了しました(「ジッド」という表記の方に馴染みがあるのですが、ここでは本書の表記に従って「ジイド」としています)。高校時代だったか大学時代だったかは忘…

サン=テグジュペリ『夜間飛行』

サン=テグジュペリ 堀口大學訳 『夜間飛行』 新潮文庫 サン=テグジュペリ(1900-1944)の『夜間飛行』を読了しました。高校時代に読んで以来の再読です。本書には『夜間飛行』に加えてサン=テグジュペリの処女作でもある『南方郵便機』が収録されています。…

ミシェル・ウエルベック『素粒子』

ミシェル・ウエルベック 野崎歓訳 『素粒子』 ちくま文庫 ミシェル・ウエルベック(1958-)の『素粒子』を読了しました。ミシェル・ウエルベックはインド洋マダガスカル島の東に位置するフランス領の孤島レユニオンの出身ですが、両親の育児放棄により、6歳…