文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

哲学

ミシェル・ウエルベック『ショーペンハウアーとともに』

ミシェル・ウエルベック 澤田直訳 『ショーペンハウアーとともに』 国書刊行会 ミシェル・ウエルベックの『ショーペンハウアーとともに』を読了しました。現代フランスを代表する作家のひとりであるミシェル・ウエルベックが、20代のときに出会って決定的な…

冨田恭彦『観念論の教室』

冨田恭彦 『観念論の教室』 ちくま新書 冨田恭彦の『観念論の教室』を読了しました。本書の主題となっているのは、ジョージ・バークリーの観念論(彼自身の言い方を使えば「物質否定論」)なのですが、「観念」という言葉のルーツを古代ギリシアの原子論、そ…

ジル=ガストン・グランジェ『科学の本質と多様性』

ジル=ガストン・グランジェ 松田克進・三宅岳史・中村大介訳 『科学の本質と多様性』 文庫クセジュ ジル=ガストン・グランジェ(1920-)の『科学の本質と多様性』を読了しました。「私は何を知るか?」を意味するフランス語の名前が冠せられた、文庫クセジュ…

W・V・O・クワイン『論理的観点から 論理と哲学をめぐる九章』

W・V・O・クワイン 飯田隆訳 『論理的観点から 論理と哲学をめぐる九章』 勁草書房 W・V・O・クワイン(1908-2000)の『論理的観点から 論理と哲学をめぐる九章』を読了しました。本書には、これを読んでいないと「モグリ」の哲学研究者と言われてしまうとい…

内井惣七『シャーロック・ホームズの推理学』

内井惣七 『シャーロック・ホームズの推理学』 講談社現代新書 内井惣七の『シャーロック・ホームズの推理学』を読了しました。シャーロック・ホームズは狭い意味での“logician”だったということを、ホームズの台詞や行動と19世紀の科学方法論とを比較するか…

坂本百大編『現代哲学基本論文集Ⅱ』

坂本百大編 『現代哲学基本論文集Ⅱ』 勁草書房 坂本百大編『現代哲学基本論文集Ⅱ』を読了しました。本書の収録作品は以下の通りです。 ジョージ・E・ムーア『観念論論駁』 アルフレッド・タルスキ『真理の意味論的観点と意味論の基礎』 ウィラード・V・O・ク…

冨田恭彦『クワインと現代アメリカ哲学』

冨田恭彦 『クワインと現代アメリカ哲学』 世界思想社 冨田恭彦の『クワインと現代アメリカ哲学』を読了しました。1994年に出版されている本書ですが、内容的には四半世紀を過ぎても古びることなく、クワイン哲学の良い入門書になっていると思います。とりわ…

飯田隆『言語哲学大全Ⅳ 真理と意味』

飯田隆 『言語哲学大全Ⅳ 真理と意味』 勁草書房 飯田隆の『言語哲学大全Ⅳ 真理と意味』を読了しました。全四巻をなす『言語哲学大全』の完結巻となります。本書の主題はデイヴィドソンのプログラムを継承するかたちで、自然言語である日本語(の一部)に意味…

マイケル・ポランニー『暗黙知の次元』

マイケル・ポランニー 高橋勇夫訳 『暗黙知の次元』 ちくま学芸文庫 マイケル・ポランニー(1891-1976)の『暗黙知の次元』を読了しました。ハンガリー生まれの医学者であり科学哲学者であるポランニーが、明示的な知識(たとえば「Sはpである」と命題化する…

G・ライル『心の概念』

G・ライル 坂本百大・井上治子・服部裕幸訳 『心の概念』 みすず書房 G・ライル(1900-1976)の『心の概念』を読了しました。ライルがデカルトの神話と呼ぶ「機械の中の幽霊」やカテゴリーミステイクの議論によって、哲学史上あまりにも有名な本書ですが、ま…

アドルノ『認識論のメタクリティーク』

アドルノ 古賀徹・細見和之訳 『認識論のメタクリティーク』 法政大学出版局 アドルノ(1903-1969)の『認識論のメタクリティーク』を読了しました。啓蒙主義を批判するフランクフルト学派の中心人物であるアドルノによるフッサール哲学の批判の書です。「フ…

パスカル『パンセ』

パスカル 塩川徹也訳 『パンセ』 岩波文庫 パスカル(1623-1662)の『パンセ』を読了しました。以前に私が『パンセ』を読んだのは中公文庫の訳で、たしかブランシュヴィック版をもとにした翻訳だったと思います。未完の著作というよりは後世の人間が集積した…

児玉聡『功利主義入門―はじめての倫理学』

児玉聡 『功利主義入門―はじめての倫理学』 ちくま新書 児玉聡の『功利主義入門―はじめての倫理学』を読了しました。功利主義を主軸に据えた倫理学の入門書です。功利主義への偏見に満ちた非難は一種のわら人形攻撃であるとして、著者はバランスの取れた功利…

德永恂『現代思想の断層―「神なき時代」の模索』

德永恂 『現代思想の断層―「神なき時代」の模索』 岩波新書 德永恂の『現代思想の断層―「神なき時代」の模索』を読了しました。閉店してしまう近所の本屋でセール販売されていたのを手に取ったのが、本書購入のきっかけです。岩波書店の本はこういうときに、…

伊勢田哲治『哲学思考トレーニング』

伊勢田哲治 『哲学思考トレーニング』 ちくま新書 伊勢田哲治の『哲学思考トレーニング』を読了しました。本書はいわゆるクリティカルシンキングのスキルについて書かれた本なのですが、そのスキルは著者自身が専門とする哲学・科学哲学・倫理学の思考法をも…

細見和之『現代思想の冒険者たち 第15巻 アドルノ―非同一性の哲学』

細見和之 『現代思想の冒険者たち 第15巻 アドルノ―非同一性の哲学』 講談社 細見和之の『現代思想の冒険者たち 第15巻 アドルノ―非同一性の哲学』を読了しました。大学時代に一度読んだような気もするのですが、今回あらためて再読に近いかたちで読み直して…

信原幸弘『心の現代哲学』

信原幸弘 『心の現代哲学』 勁草書房 信原幸弘の『心の現代哲学』を読了しました。本書の出版は1999年で、今からちょうど20年前のこととなります。「心とはいかなるものか」という問いに対して、認知科学や脳神経科学などの成果に寄り添うかたちで語ろうとす…

冨田恭彦『デカルト入門講義』

冨田恭彦 『デカルト入門講義』 ちくま学芸文庫 冨田恭彦の『デカルト入門講義』を読了しました。冨田氏独自の近世哲学の読みというものは背景に退いて、デカルト哲学のオーソドックスな解説書という印象の作品でした。「観念」という用語の解説や歴史的な位…

小林道夫『デカルト入門』

小林道夫 『デカルト入門』 ちくま新書 小林道夫の『デカルト入門』を読了しました。新書という形態を意識してのことだと思いますが、本書はあとがきを含めても全体で220ページ程度のコンパクトな構成になっています。その分量のなかで、デカルトの生涯、形…

川本隆史『現代思想の冒険者たち 第23巻 ロールズ―正義の原理』

川本隆史 『現代思想の冒険者たち 第23巻 ロールズ―正義の原理』 講談社 川本隆史『現代思想の冒険者たち 第23巻 ロールズ―正義の原理』を読了しました。20世紀以降の倫理学の学び直しを計画していて、その取っ掛かりとしてロールズの『正義論』を読みたいと…

冨田恭彦『ロック入門講義 イギリス経験論の原点』

冨田恭彦 『ロック入門講義 イギリス経験論の原点』 ちくま学芸文庫 冨田恭彦の『ロック入門講義 イギリス経験論の原点』を読了しました。著者にとって専門であるロックの思想が平易な表現で丁寧に解説されています。知覚(観念)のヴェール説、心像論的ロッ…

アール・コニー・セオドア・サイダー『形而上学レッスン 存在・時間・自由をめぐる哲学ガイド』

アール・コニー・セオドア・サイダー 小山虎訳 『形而上学レッスン 存在・時間・自由をめぐる哲学ガイド』 春秋社 アール・コニーとセオドア・サイダーの共著『形而上学レッスン 存在・時間・自由をめぐる哲学ガイド』を読了しました。英語圏で展開された分…

いしいひさいち『現代思想の遭難者たち』

いしいひさいち 『現代思想の遭難者たち』 講談社学術文庫 いしいひさいちの『現代思想の遭難者たち』を読了しました。1990年代後半に講談社から刊行された『現代思想の冒険者たち』シリーズは、主として20世紀に活躍した思想家の生涯やその哲学のエッセンス…

永井均『翔太と猫のインサイトの夏休み 哲学諸問題へのいざない』

永井均 『翔太と猫のインサイトの夏休み 哲学諸問題へのいざない』 ナカニシヤ出版 永井均の『翔太と猫のインサイトの夏休み 哲学諸問題へのいざない』を読了しました。いわゆる「主観性」や<私>の問題を徹底する場所から哲学に切り込もうとする永井氏がお…

カント『純粋理性批判』

カント 熊野純彦訳 『純粋理性批判』 作品社 イマヌエル・カント(1724-1804)の『純粋理性批判』を読了しました。ドイツの哲学者であるカントは、ルネ・デカルトに始まる大陸の合理主義とジョン・ロックに始まるイギリスの経験主義を批判的に統合することで…

坂本百大編『現代哲学基本論文集Ⅰ』

坂本百大編 『現代哲学基本論文集Ⅰ』 勁草書房 坂本百大編『現代哲学基本論文集Ⅰ』を読了しました。最近の言語哲学の学び直しに伴って、本書もあらためて読み直してみました。収録作品は以下の通りです。 ゴットロープ・フレーゲ『意義と意味について』 バー…

金森修『現代思想の冒険者たち 第05巻 バシュラール―科学と詩』

金森修 『現代思想の冒険者たち 第05巻 バシュラール―科学と詩』 講談社 金森修の『現代思想の冒険者たち 第05巻 バシュラール―科学と詩』を読了しました。この「現代思想の冒険者たち」シリーズには思い入れがあって、現在ではどれも重版品切れになってしま…

バートランド・ラッセル『私の哲学の発展』

バートランド・ラッセル 野田又夫訳 『私の哲学の発展』 みすず書房 バートランド・ラッセル(1872-1970)の『私の哲学の発展』を読了しました。イギリスの哲学者ラッセルが晩年に著した自伝的著作です。ここまで赤裸々に自らの思想遍歴を語られると読んでい…

飯田隆『言語哲学大全Ⅲ 意味と様相(下)』

飯田隆 『言語哲学大全Ⅲ 意味と様相(下)』 勁草書房 飯田隆の『言語哲学大全Ⅲ 意味と様相(下)』を読了しました。本書の全編が、可能世界意味論という道具立てをもとにした様相理論の解説にあてられています。可能世界意味論が可能にした様相概念によって…

飯田隆『言語哲学大全Ⅱ 意味と様相(上)』

飯田隆 『言語哲学大全Ⅱ 意味と様相(上)』 勁草書房 飯田隆の『言語哲学大全Ⅱ 意味と様相(上)』を読了しました。第一巻の主役はフレーゲとラッセルでしたが、本書の主要な登場人物は論理実証主義者たち、ウィトゲンシュタイン、そしてクワインです。ウィ…