文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

哲学

パスカル『パンセ』

パスカル 塩川徹也訳 『パンセ』 岩波文庫 パスカル(1623-1662)の『パンセ』を読了しました。以前に私が『パンセ』を読んだのは中公文庫の訳で、たしかブランシュヴィック版をもとにした翻訳だったと思います。未完の著作というよりは後世の人間が集積した…

児玉聡『功利主義入門―はじめての倫理学』

児玉聡 『功利主義入門―はじめての倫理学』 ちくま新書 児玉聡の『功利主義入門―はじめての倫理学』を読了しました。功利主義を主軸に据えた倫理学の入門書です。功利主義への偏見に満ちた非難は一種のわら人形攻撃であるとして、著者はバランスの取れた功利…

德永恂『現代思想の断層―「神なき時代」の模索』

德永恂 『現代思想の断層―「神なき時代」の模索』 岩波新書 德永恂の『現代思想の断層―「神なき時代」の模索』を読了しました。閉店してしまう近所の本屋でセール販売されていたのを手に取ったのが、本書購入のきっかけです。岩波書店の本はこういうときに、…

伊勢田哲治『哲学思考トレーニング』

伊勢田哲治 『哲学思考トレーニング』 ちくま新書 伊勢田哲治の『哲学思考トレーニング』を読了しました。本書はいわゆるクリティカルシンキングのスキルについて書かれた本なのですが、そのスキルは著者自身が専門とする哲学・科学哲学・倫理学の思考法をも…

細見和之『現代思想の冒険者たち 第15巻 アドルノ―非同一性の哲学』

細見和之 『現代思想の冒険者たち 第15巻 アドルノ―非同一性の哲学』 講談社 細見和之の『現代思想の冒険者たち 第15巻 アドルノ―非同一性の哲学』を読了しました。大学時代に一度読んだような気もするのですが、今回あらためて再読に近いかたちで読み直して…

信原幸弘『心の現代哲学』

信原幸弘 『心の現代哲学』 勁草書房 信原幸弘の『心の現代哲学』を読了しました。本書の出版は1999年で、今からちょうど20年前のこととなります。「心とはいかなるものか」という問いに対して、認知科学や脳神経科学などの成果に寄り添うかたちで語ろうとす…

冨田恭彦『デカルト入門講義』

冨田恭彦 『デカルト入門講義』 ちくま学芸文庫 冨田恭彦の『デカルト入門講義』を読了しました。冨田氏独自の近世哲学の読みというものは背景に退いて、デカルト哲学のオーソドックスな解説書という印象の作品でした。「観念」という用語の解説や歴史的な位…

小林道夫『デカルト入門』

小林道夫 『デカルト入門』 ちくま新書 小林道夫の『デカルト入門』を読了しました。新書という形態を意識してのことだと思いますが、本書はあとがきを含めても全体で220ページ程度のコンパクトな構成になっています。その分量のなかで、デカルトの生涯、形…

川本隆史『現代思想の冒険者たち 第23巻 ロールズ―正義の原理』

川本隆史 『現代思想の冒険者たち 第23巻 ロールズ―正義の原理』 講談社 川本隆史『現代思想の冒険者たち 第23巻 ロールズ―正義の原理』を読了しました。20世紀以降の倫理学の学び直しを計画していて、その取っ掛かりとしてロールズの『正義論』を読みたいと…

冨田恭彦『ロック入門講義 イギリス経験論の原点』

冨田恭彦 『ロック入門講義 イギリス経験論の原点』 ちくま学芸文庫 冨田恭彦の『ロック入門講義 イギリス経験論の原点』を読了しました。著者にとって専門であるロックの思想が平易な表現で丁寧に解説されています。知覚(観念)のヴェール説、心像論的ロッ…

アール・コニー・セオドア・サイダー『形而上学レッスン 存在・時間・自由をめぐる哲学ガイド』

アール・コニー・セオドア・サイダー 小山虎訳 『形而上学レッスン 存在・時間・自由をめぐる哲学ガイド』 春秋社 アール・コニーとセオドア・サイダーの共著『形而上学レッスン 存在・時間・自由をめぐる哲学ガイド』を読了しました。英語圏で展開された分…

いしいひさいち『現代思想の遭難者たち』

いしいひさいち 『現代思想の遭難者たち』 講談社学術文庫 いしいひさいちの『現代思想の遭難者たち』を読了しました。1990年代後半に講談社から刊行された『現代思想の冒険者たち』シリーズは、主として20世紀に活躍した思想家の生涯やその哲学のエッセンス…

永井均『翔太と猫のインサイトの夏休み 哲学諸問題へのいざない』

永井均 『翔太と猫のインサイトの夏休み 哲学諸問題へのいざない』 ナカニシヤ出版 永井均の『翔太と猫のインサイトの夏休み 哲学諸問題へのいざない』を読了しました。いわゆる「主観性」や<私>の問題を徹底する場所から哲学に切り込もうとする永井氏がお…

カント『純粋理性批判』

カント 熊野純彦訳 『純粋理性批判』 作品社 イマヌエル・カント(1724-1804)の『純粋理性批判』を読了しました。ドイツの哲学者であるカントは、ルネ・デカルトに始まる大陸の合理主義とジョン・ロックに始まるイギリスの経験主義を批判的に統合することで…

坂本百大編『現代哲学基本論文集Ⅰ』

坂本百大編 『現代哲学基本論文集Ⅰ』 勁草書房 坂本百大編『現代哲学基本論文集Ⅰ』を読了しました。最近の言語哲学の学び直しに伴って、本書もあらためて読み直してみました。収録作品は以下の通りです。 ゴットロープ・フレーゲ『意義と意味について』 バー…

金森修『現代思想の冒険者たち 第05巻 バシュラール―科学と詩』

金森修 『現代思想の冒険者たち 第05巻 バシュラール―科学と詩』 講談社 金森修の『現代思想の冒険者たち 第05巻 バシュラール―科学と詩』を読了しました。この「現代思想の冒険者たち」シリーズには思い入れがあって、現在ではどれも重版品切れになってしま…

バートランド・ラッセル『私の哲学の発展』

バートランド・ラッセル 野田又夫訳 『私の哲学の発展』 みすず書房 バートランド・ラッセル(1872-1970)の『私の哲学の発展』を読了しました。イギリスの哲学者ラッセルが晩年に著した自伝的著作です。ここまで赤裸々に自らの思想遍歴を語られると読んでい…

飯田隆『言語哲学大全Ⅲ 意味と様相(下)』

飯田隆 『言語哲学大全Ⅲ 意味と様相(下)』 勁草書房 飯田隆の『言語哲学大全Ⅲ 意味と様相(下)』を読了しました。本書の全編が、可能世界意味論という道具立てをもとにした様相理論の解説にあてられています。可能世界意味論が可能にした様相概念によって…

飯田隆『言語哲学大全Ⅱ 意味と様相(上)』

飯田隆 『言語哲学大全Ⅱ 意味と様相(上)』 勁草書房 飯田隆の『言語哲学大全Ⅱ 意味と様相(上)』を読了しました。第一巻の主役はフレーゲとラッセルでしたが、本書の主要な登場人物は論理実証主義者たち、ウィトゲンシュタイン、そしてクワインです。ウィ…

ヴィーコ『学問の方法』

ヴィーコ 上村忠男・佐々木力訳 『学問の方法』 岩波文庫 ヴィーコ(1668-1744)の『学問の方法』を読了しました。ジャンバッティスタ・ヴィーコはイタリアの思想家で、ナポリの小さな本屋の息子として生まれたそうです。やがてナポリ大学の教授に就任したヴ…

ジョン・ロック『知性の正しい導き方』

ジョン・ロック 下川潔訳 『知性の正しい導き方』 ちくま学芸文庫 ジョン・ロック(1632-1704)の『知性の正しい導き方』を読了しました。イギリスの偉大な哲学者ロックの遺稿をもとに彼の死後に出版されたのが本書で、その原題は“Of the Conduct of the Und…

サミール・オカーシャ『1冊でわかる 科学哲学』

サミール・オカーシャ 廣瀬覚訳 『1冊でわかる 科学哲学』 岩波書店 サミール・オカーシャの『1冊でわかる 科学哲学』を読了しました。そのタイトルの通り、コンパクトにまとめられた科学哲学の教科書で、推論、説明、実在論・反実在論、パラダイム論、個別…

飯田隆『言語哲学大全Ⅰ 論理と言語』

飯田隆 『言語哲学大全Ⅰ 論理と言語』 勁草書房 飯田隆の『言語哲学大全Ⅰ 論理と言語』を読了しました。学生時代に読んで以来、そのままになっていたのですが、最近の哲学の学び直しを機に、全四巻を読了したいと考えています。まずはフレーゲとラッセルの言…

伊勢田哲治『認識論を社会化する』

伊勢田哲治 『認識論を社会化する』 名古屋大学出版会 伊勢田哲治の『認識論を社会化する』を読了しました。本書の冒頭では「本書の主要なテーマは科学社会学と認識論のよりよい関係の構築のために何をすべきか考えること、とりわけ社会学的な理論や知見を認…

須藤靖・伊勢田哲治『科学を語るとはどういうことか 科学者、哲学者にモノ申す』

須藤靖・伊勢田哲治 『科学を語るとはどういうことか 科学者、哲学者にモノ申す』 河出ブックス 須藤靖・伊勢田哲治『科学を語るとはどういうことか 科学者、哲学者にモノ申す』を読了しました。物理学者である須藤氏が持つ「科学哲学」に関する疑問や不信感…

加藤尚武 責任編集『哲学の歴史 第7巻 理性の劇場【18-19世紀】』

加藤尚武 責任編集 『哲学の歴史 第7巻 理性の劇場【18-19世紀】』 中央公論新社 『哲学の歴史 第7巻 理性の劇場【18-19世紀】』を読了しました。西洋哲学の網羅的な歴史解説書ということで、かなり有用な書籍だと思うのですが、執筆者の“カラー”もまちまち…

戸田山和久『科学的実在論を擁護する』

戸田山和久 『科学的実在論を擁護する』 名古屋大学出版会 戸田山和久の『科学的実在論を擁護する』を読了しました。電子やクォークのような、実際に目で見たり手で触ったりして確かめることができないような科学的理論(の対象)が、本当にこの世界において…

一ノ瀬正樹『確率と曖昧性の哲学』

一ノ瀬正樹 『確率と曖昧性の哲学』 岩波書店 一ノ瀬正樹の『確率と曖昧性の哲学』を読了しました。ロックやヒュームなどのイギリス経験論の研究から、実践的な哲学論考に至るまで幅広く活躍している著者ですが、本書は「自然化された認識論」、「因果性」、…

冨田恭彦『カント批判―『純粋理性批判』の論理を問う』

冨田恭彦 『カント批判―『純粋理性批判』の論理を問う』 勁草書房 冨田恭彦の『カント批判―『純粋理性批判』の論理を問う』を読了しました。『カント入門講義』や『カント哲学の奇妙な歪み』など、立て続けにカントを批判的に読解する著作を上梓している冨田…

カント『プロレゴメナ』

カント 篠田英雄訳 『プロレゴメナ』 岩波文庫 カント(1724-1804)の『プロレゴメナ』を読了しました。本書のタイトルを正確に表すと『学として登場しうる将来の形而上学のためのプロレゴメナ(序論)』となります。カントのいう「形而上学」は、純粋数学や…