文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

日本文学

横山秀夫『ノースライト』

横山秀夫 『ノースライト』 新潮社 横山秀夫の『ノースライト』を読了しました。2012年に発表された『64』も久しぶりの作品となりましたが、今年発表された本作もそれから実に9年ぶりの作品となります。もっとも本作は2004年から2006年に一度雑誌連載されて…

大江健三郎『あいまいな日本の私』

大江健三郎 『あいまいな日本の私』 岩波新書 大江健三郎の『あいまいな日本の私』を読了しました。本書には1994年のノーベル文学賞受賞時の記念講演をはじめ、新聞社主催の医療フォーラム、コンサートホール、井伏鱒二さんを偲ぶ会など、全部で9編の講演が…

村上春樹・安西水丸『象工場のハッピーエンド』

村上春樹・安西水丸 『象工場のハッピーエンド』 新潮文庫 村上春樹=文・安西水丸=画の『象工場のハッピーエンド』を読了しました。高校時代に古本屋で買って読んだ記憶があるのですが、何となく再読したくなって書店で新品を購入して手に取ることになりま…

島田荘司『鳥居の密室 世界にただひとりのサンタクロース』

島田荘司 『鳥居の密室 世界にただひとりのサンタクロース』 新潮社 島田荘司の『鳥居の密室 世界にただひとりのサンタクロース』を読了しました。島田さんの小説作品はほとんど読んでいて、その文体も含めて好きな作家ではあるのですが、近年は会話の流れの…

本谷有希子『異類婚姻譚』

本谷有希子 『異類婚姻譚』 講談社 本谷有希子の『異類婚姻譚』を読了しました。第154回芥川賞受賞作である本書は「結婚」、そして「夫婦」というものに潜む違和感を題材としています。「夫婦は互いに似てくる」という、比較的多くの文脈においては美談のよ…

いとうせいこう『ノーライフキング』

いとうせいこう 『ノーライフキング』 河出文庫 いとうせいこう(1961-)の『ノーライフキング』を読了しました。本書が単行本として(新潮社から)最初に刊行されたのは1988年のこと。任天堂のファミリーコンピュータの発売が1983年のことなので、時系列と…

村田沙耶香『タダイマトビラ』

村田沙耶香 『タダイマトビラ』 新潮文庫 村田沙耶香の『タダイマトビラ』を読了しました。かつて三島賞の候補作になった頃から話題の本で、私もずっと気になってはいたのですが、これまで読まずにいた作品です。『コンビニ人間』で芥川賞を受賞し、新作も大…

青木淳悟『いい子は家で』

青木淳悟 『いい子は家で』 ちくま文庫 青木淳悟(1979-)の『いい子は家で』を読了しました。青木さんの作品を読むのは、デビュー作である『四十日と四十夜のメルヘン』、そして三島賞受賞作の『私のいない高校』に続いて、本作で三冊目になります。何とな…

赤川次郎『黒い森の記憶』

赤川次郎 『黒い森の記憶』 角川文庫 赤川次郎の『黒い森の記憶』を読了しました。北のほうにドライブしたときにふらっと立ち寄った古本屋で80円で購入。赤川さんの本は中学校の頃にかなりの数を読んだのですが、印象に残っていてずっと読み返したいと思って…

多和田葉子『尼僧とキューピッドの弓』

多和田葉子 『尼僧とキューピッドの弓』 講談社文庫 多和田葉子の『尼僧とキューピッドの弓』を読了しました。日本語とドイツ語の両方で作品を発表している多和田さんの作品を読むのは今回が初めてのことになります。作品の舞台はドイツの田舎町にある尼僧修…

島田荘司『嘘でもいいから誘拐事件』

島田荘司 『嘘でもいいから誘拐事件』 集英社文庫 島田荘司の『嘘でもいいから誘拐事件』を読了しました。有名な御手洗潔シリーズや吉敷竹史シリーズではないのですが、これも島田氏のシリーズもののひとつです。とはいえシリーズものとはいっても、私の知る…

伊坂幸太郎『ホワイトラビット』

伊坂幸太郎 『ホワイトラビット』 新潮社 伊坂幸太郎の『ホワイトラビット』を読了しました。エンタメ系の小説を読むのは随分と久しぶりのような気がします。本書には『ラッシュライフ』など伊坂さんの他の小説でもおなじみの人気キャラクター・黒澤(泥棒)…

崔実『ジニのパズル』

崔実 『ジニのパズル』 講談社 崔実の『ジニのパズル』を読了しました。本書は群像新人文学賞、芸術選奨新人賞、織田作之助賞を受賞した話題の作品です。最近になって文庫化されたようですが、以前に購入して読めないままになっていた本書を最近になってよう…

諏訪哲史『アサッテの人』

諏訪哲史 『アサッテの人』 講談社文庫 諏訪哲史の『アサッテの人』を読了しました。群像新人文学賞と芥川賞をダブル受賞した作品です。カバーにある粗筋をそのまま引用すると「吃音による疎外感から凡庸な言葉への嫌悪をつのらせ、孤独な風狂の末に行方をく…

沼田真佑『影裏』

沼田真佑 『影裏』 文藝春秋 沼田真佑の『影裏』を読了しました。第157回の芥川賞受賞作で、多面的な読みを許容する小説です。釣りの描写の瑞々しさも心地よいですし、性的なマイノリティーの抱える葛藤が描かれていると受け取ることもできるのでしょう。不…

星新一『ボッコちゃん』

星新一 『ボッコちゃん』 新潮文庫 星新一(1926-1997)の『ボッコちゃん』を読了しました。日本SF作家の草分け的存在であり、ショートショートの名手としても知られる著者の作品ですが、本書はその著者自身による自選作品集です。それほど長いとはいえない…

平野啓一郎『ある男』

平野啓一郎 『ある男』 文芸春秋 平野啓一郎(1975-)の『ある男』を読了しました。海外文学ばかりを読んでいたので日本の作家が書いた小説を読むのは約1年ぶりくらいかもしれません。これからはもう少しバランスよく読んでいきたいと思うのですが。前作『マ…