文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

英米文学

サローヤン『ヒューマン・コメディ』

サローヤン 小川敏子訳 『ヒューマン・コメディ』 光文社古典新訳文庫 サローヤン(1908-1981)の『ヒューマン・コメディ』を読了しました。アルメニア人移民の2世として生まれたサローヤンが1943年に発表した長編作品が本書『ヒューマン・コメディ』です。…

シーグリッド・ヌーネス『友だち』

シーグリッド・ヌーネス 村松潔訳 『友だち』 新潮社 シーグリッド・ヌーネス(1951-)の『友だち』を読了しました。ニューヨーク生まれで書評誌の編集アシスタントを務めた後、作家になったという彼女の小説作品7作目が本書とのこと。全米図書賞の受賞作品…

エルモア・レナード『オンブレ』

エルモア・レナード 村上春樹訳 『オンブレ』 新潮文庫 エルモア・レナード(1925-2013)の『オンブレ』を読了しました。エルモア・レナードはエドガー賞も受賞したアメリカのミステリ畑の作家ですが、私が彼の作品を読むのは初めてのことでした。村上氏によ…

フォースター『ハワーズ・エンド』

フォースター 吉田健一訳 『ハワーズ・エンド』 河出書房新社 E・M・フォースター(1879-1970)の『ハワーズ・エンド』を読了しました。池澤夏樹氏の個人編集による世界文学全集の一冊として刊行されたもので、フォースターの作品に触れること自体が私にとっ…

J・D・サリンジャー『フラニーとズーイ』

J・D・サリンジャー 村上春樹訳 『フラニーとズーイ』 新潮文庫 J・D・サリンジャー(1919-2010)の『フラニーとズーイ』を読了しました。著者の意向により「まえがき」や「あとがき」を付すことができない本書には、「投げ込み特別エッセイ」という形で村上…

ケリー・リンク『マジック・フォー・ビギナーズ』

ケリー・リンク 柴田元幸訳 『マジック・フォー・ビギナーズ』 ハヤカワ文庫 ケリー・リンク(1969-)の『マジック・フォー・ビギナーズ』を読了しました。本書に収録された「妖精のハンドバッグ」はヒューゴー賞やネビュラ賞など、SF・ファンタジー系の賞を…

スティーヴン・ミルハウザー『エドウィン・マルハウス』

スティーヴン・ミルハウザー 岸本佐知子訳 『エドウィン・マルハウス』 河出文庫 スティーヴン・ミルハウザー(1943-)の『エドウィン・マルハウス』を読了しました。本書は1972年に発表された著者のデビュー作品で、フランスのメディシス賞外国語部門を受賞…

モーシン・ハミッド『西への出口』

モーシン・ハミッド 藤井光訳 『西への出口』 新潮社 モーシン・ハミッド(1971-)の『西への出口』を読了しました。パキスタン生まれの作者は、アメリカのロースクールを卒業後、マッキンゼーに勤務しながら小説の執筆を行い200年にデビュー、2007年に発表…

ベン・ラーナー『10:04』

ベン・ラーナー 木原善彦訳 『10:04』 白水社 ベン・ラーナー(1979-)の『10:04』を読了しました。詩人であり作家であるベン・ラーナーの作品は、ポール・オースターやジョナサン・フランゼンといった作家からの評価も高いとのこと。本書の帯には「米の若手…

アリス・マンロー『善き女の愛』

アリス・マンロー 小竹由美子訳 『善き女の愛』 新潮社 アリス・マンロー(1931-)の『善き女の愛』を読了しました。“The Love of a Good Woman”が原題で1998年に出版された短編集です。本書には8編の短編が収録されていますが、いずれも一筋縄ではいかない…

スティーヴン・キング『ダークタワーⅠ ガンスリンガー』

スティーヴン・キング 風間賢二訳 『ダークタワーⅠ ガンスリンガー』 角川文庫 スティーヴン・キング(1947-)の『ダークタワーⅠ ガンスリンガー』を読了しました。キングのライフワークとも言われているダークファンタジー『ダークタワー』の一冊です。トー…

イーユン・リー『千年の祈り』

イーユン・リー 篠森ゆりこ訳 『千年の祈り』 新潮社 イーユン・リー(1972-)の『千年の祈り』を読了しました。中国の北京で生まれた著者は1996年に渡米した後、英語で小説を書くことを選んだそうです。2005年に刊行されたデビュー短編集である本書は「第1…

レベッカ・ブラウン『若かった日々』

レベッカ・ブラウン 柴田元幸訳 『若かった日々』 新潮文庫 レベッカ・ブラウン(1956-)の『若かった日々』を読了しました。原題は“The End of Youth”となっています。「自伝的短編集」であると喧伝されていますが、家族や周囲との関わりのなかで過ごす若か…

ジョン・ニコルズ『卵を産めない郭公』

ジョン・ニコルズ 村上春樹訳 『卵を産めない郭公』 新潮文庫 ジョン・ニコルズ(1940-)の『卵を産めない郭公』を読了しました。以前にハヤカワ文庫から『くちづけ』というタイトルで翻訳された作品で、このたびは村上柴田翻訳堂の一冊として村上氏による翻…

ドン・デリーロ『天使エスメラルダ 9つの物語』

ドン・デリーロ 柴田元幸・上岡伸雄・都甲幸治・高吉一郎訳 『天使エスメラルダ 9つの物語』 新潮社 ドン・デリーロ(1936-)の『天使エスメラルダ 9つの物語』を読了しました。本書には表題のとおりに9つの短編作品が発表年代順に収録されています。古いも…

ジョン・チーヴァー『巨大なラジオ/泳ぐ人』

ジョン・チーヴァー 村上春樹訳 『巨大なラジオ/泳ぐ人』 新潮社 ジョン・チーヴァー(1912-1982)の『巨大なラジオ/泳ぐ人』を読了しました。雑誌『ザ・ニューヨーカー』御用達の作家で、短編小説の名手といわれたチーヴァーの選集です。作品のセレクトも…

R・ラードナー『アリバイ・アイク ラードナー傑作選』

R・ラードナー 加島祥造訳 『アリバイ・アイク ラードナー傑作選』 新潮文庫 R・ラードナー(1885-1933)の『アリバイ・アイク ラードナー傑作選』を読了しました。ラードナーは年代的にはヘミングウェイやフォークナーよりも少し上の世代に属し、若き日の…

グレアム・スウィフト『ウォーターランド』

グレアム・スウィフト 真野泰訳 『ウォーターランド』 新潮社 グレアム・スウィフト(1949-)の『ウォーターランド』を読了しました。現代イギリス作家であるスウィフトの小説を読むのは中編作品『マザリング・サンデー』に続いて二冊目となります。本書は翻…

J・M・クッツェー『夷狄を待ちながら』

J・M・クッツェー 土岐恒二訳 『夷狄を待ちながら』 集英社文庫 J・M・クッツェー(1940-)の『夷狄を待ちながら』を読了しました。本書はクッツェーの第三作目となる長編小説で、ブッカー賞を受賞した『マイケル・K』の三年前に発表された作品です。発表さ…

P・G・ウッドハウス『ジーヴズの事件簿 才知縦横の巻』

P・G・ウッドハウス 岩永正勝・小山太一編訳 『ジーヴズの事件簿 才知縦横の巻』 文春文庫 P・G・ウッドハウス(1881-1975)の『ジーヴズの事件簿 才知縦横の巻』を読了しました。イギリスのユーモア作家であるウッドハウスの「ジーヴスシリーズ」の作品を独…

『カート・ヴォネガット全短編 4 明日も明日もその明日も』

大森望 監修・浅倉久志 他 訳 『カート・ヴォネガット全短編 4 明日も明日もその明日も』 早川書房 『カート・ヴォネガット全短編 4 明日も明日もその明日も』を読了しました。ヴォネガットの短編全集は本書で最後となります。「ふるまい」、「リンカーン高…

ジョージ・オーウェル『動物農場』

ジョージ・オーウェル 川端康雄訳 『動物農場』 岩波文庫 ジョージ・オーウェル(1903-1950)の『動物農場』を読了しました。ディストピア小説である『1984年』の著者として知られるオーウェルのいわずと知れた寓話ですが、きちんと読むのは初めてのことのよ…

『対訳 イェイツ詩集』

高松雄一編 『対訳 イェイツ詩集』 岩波文庫 高松雄一編『対訳 イェイツ詩集』を読了しました。アイルランドの詩人・劇作家であるイェイツ(1865-1939)の対訳詩集で、本書には54編の詩が収録されています。二十世紀に活躍したイェイツは、世界文学の詩人と…

ディケンズ『荒涼館』

ディケンズ 佐々木徹訳 『荒涼館』 岩波文庫 ディケンズ(1812-1870)の『荒涼館』を読了しました。原題は“Bleak House”です。1852年から1853年にかけて発表された小説で、『デイヴィッド・コパフィールド』の次に書かれた作品になります。「ジャーンダイス…

ジョナサン・サフラン・フォア『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』

ジョナサン・サフラン・フォア 近藤隆文訳 『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』 NHK出版 ジョナサン・サフラン・フォア(1977-)の『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』を読了しました。“Extremely Loud and Incredibly Close”という原タ…

スティーヴン・キング『ゴールデンボーイ』

スティーヴン・キング 浅倉久志訳 『ゴールデンボーイ』 新潮文庫 スティーヴン・キング(1947-)の『ゴールデンボーイ』を読了しました。『スタンド・バイ・ミー』との二分冊で出版された“Different Seasons”の「春夏編」に当たる作品で、「刑務所のリタ・…

クッツェー『鉄の時代』

クッツェー くぼたのぞみ訳 『鉄の時代』 河出書房新社 クッツェー(1940-)の『鉄の時代』を読了しました。池澤夏樹氏による個人編集の「世界文学全集」の一冊ですが、最近になって文庫化されたようです。その前に本書を購入した私は、タイミング的にどこか…

ジョージ・ソーンダーズ『十二月の十日』

ジョージ・ソーンダーズ 岸本佐知子訳 『十二月の十日』 河出書房新社 ジョージ・ソーンダーズ(1958-)の『十二月の十日』を読了しました。2017年のブッカー賞受賞作である『リンカーンとさまよえる霊魂たち』に続く、ソーンダーズ二冊目の読書となります。…

ロバート・A・ハインライン『輪廻の蛇』

ロバート・A・ハインライン 矢野徹・他訳 『輪廻の蛇』 ハヤカワ文庫 ロバート・A・ハインライン(1907-1988)の『輪廻の蛇』を読了しました。アメリカのSF作家・ハインラインの短編集です。原書の表題作は、本作とは異なり「ジョナサン・ホーグ氏の不愉快な…

フィリップ・ロス『背信の日々』

フィリップ・ロス 宮本陽吉訳 『背信の日々』 集英社 フィリップ・ロス(1933-2018)の『背信の日々』を読了しました。本書は作家であるネイサン・ザッカーマンを主人公(といってよいのか分かりませんが)とする作品群のひとつで、原題は“The Counterlife”…