英米文学
ウィリアム・バロウズ 鮎川信夫訳 『裸のランチ』 河出文庫 ウィリアム・バロウズ(1914-1997)の『裸のランチ』を読了しました。あらためてバロウズの経歴を調べてみるとハーバード大学の英文学専攻ということで、文学エリートを思わせる華やかな学歴と、猥…
スティーヴン・キング 風間賢二訳 『ダークタワーⅡ 運命の三人』 角川文庫 スティーヴン・キングの『ダークタワーⅡ 運命の三人』を読了しました。ダークファンタジーという世界観にはやはり馴染めぬところがあるものの、異世界を主な舞台とした前作から一転…
カズオ・イシグロ 土屋政雄訳 『夜想曲集』 ハヤカワ文庫 カズオ・イシグロの『夜想曲集』を読了しました。現在のところ、刊行されている唯一の短編集ということになるのでしょうか。「音楽と夕暮れを巡る五つの物語」という副題が示すとおり、音楽を重要な…
ドリス・レッシング 山本章子訳 『グランド・マザーズ』 集英社文庫 ドリス・レッシング(1919-2013)の『グランド・マザーズ』を読了しました。2003年に発表された本書には、表題作のほか「ヴィクトリアの運命」、「最後の賢者」、「愛の結晶」という合計4…
ジェイムズ・ジョイス 柳瀬尚紀訳 『ダブリナーズ』 新潮文庫 ジェイムズ・ジョイス(1882-1941)の『ダブリナーズ』を読了しました。同じく新潮文庫に収められている『ダブリン市民』を読んだのは、たしか大学生の頃だったと思うのですが、今回はジョイス研…
A・グリーン/G・トマージ・ディ・ランペドゥーサほか 岩本和久/小林惺ほか訳 『短編コレクションⅡ』 河出書房新社 池澤夏樹氏による個人編集の世界文学全集から『短編コレクションⅡ』を読了しました。本書にはヨーロッパ・北米の作家19人の短編が収録され…
ウィリアム・ゴールディング 小川和夫訳 『後継者たち』 ハヤカワ文庫 ウィリアム・ゴールディング(1911-1993)の『後継者たち』を読了しました。少年たちの過酷なサバイバルと殺戮を描いた第一作目の『蝿の王』が有名なゴールディングですが、本書はそれに…
ウィラ・キャザー 佐藤宏子訳 『マイ・アントニーア』 みすず書房 ウィラ・キャザー(1873-1947)の『マイ・アントニーア』を読了しました。ウィラ・キャザーは20世紀初め頃に活躍したアメリカ文学者で、セオドア・ドライサー(1871-1945)などとほぼ同世代…
ジョイス・キャロル・オーツ 栩木玲子訳 『とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢』 河出文庫 ジョイス・キャロル・オーツ(1938-)の『とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢』を読了しました。ジョイス・キャロル・オーツといえば、雑誌『ニューヨーカ…
グレイス・ペイリー 村上春樹訳 『人生のちょっとした煩い』 文春文庫 グレイス・ペイリー(1922-2007)の『人生のちょっとした煩い』を読了しました。村上春樹氏によって『最後の瞬間のすごく大きな変化』に続いて日本語に翻訳されることになった短編集です…
ヘミングウェイ 高見浩訳 『武器よさらば』 新潮文庫 ヘミングウェイ(1899-1961)の『武器よさらば』を読了しました。本書は1929年に発表された長編作品で、第一次世界大戦のイタリアを主な舞台として、イタリア軍に参加するアメリカ人のヘンリーと、イギリ…
ナサニエル・ウエスト 柴田元幸訳 『いなごの日/クール・ミリオン』 新潮文庫 ナサニエル・ウエスト(1903-1940)の『いなごの日/クール・ミリオン』を読了しました。新潮文庫から合計で10冊が刊行されている村上柴田翻訳堂の最後の一冊です。フィッツジェ…
ジェフリー・デイーヴァー 池田真紀子訳 『ゴースト・スナイパー』 文春文庫 ジェフリー・デイーヴァーの『ゴースト・スナイパー』を読了しました。四肢麻痺の科学捜査官リンカーン・ライムを主人公とするミステリー小説です。数年ほど前までは、だいたい年…
ヴァージニア・ウルフ 出淵敬子訳 『三ギニー』 みすず書房 ヴァージニア・ウルフ(1882-1941)の『三ギニー』を読了しました。みすず書房から刊行されている「ヴァージニア・ウルフ コレクション」の最後の一冊です。『自分だけの部屋』と同じく「女性」で…
ハーラン・エリスン 浅倉久志・伊藤典夫訳 『世界の中心で愛を叫んだけもの』 ハヤカワ文庫 ハーラン・エリスン(1934-2018)の『世界の中心で愛を叫んだけもの』を読了しました。ヒューゴー賞を受賞した表題作や、映画化もされたという「少年と犬」など、15…
スティーヴン・キング 浅倉久志他訳 『幸運の25セント硬貨』 新潮文庫 スティーヴン・キングの『幸運の25セント硬貨』を読了しました。本書は、キングの14の短編が収録された原著である短編集“Everytihing's Eventual : 14 Dark Tales”の日本語訳の二分冊の…
ディケンズ 石塚裕子訳 『デイヴィッド・コパフィールド』 岩波文庫 チャールズ・ディケンズ(1812-1870)の『デイヴィッド・コパフィールド』を読了しました。1849年から1850年にかけて発表されたディケンズ中期の長編小説で、自伝的要素の強い作品であると…
J・M・クッツェー 鴻巣友季子訳 『イエスの学校時代』 早川書房 J・M・クッツェー(1940-)の『イエスの学校時代』を読了しました。本書は『イエスの幼子時代』の続編で、最終的には三部作として予定されている作品です。スペイン語が公用語として話される架…
W・サローヤン 今江祥智訳 『ワン デイ イン ニューヨーク』 新潮文庫 W・サローヤン(1908-1981)の『ワン デイ イン ニューヨーク』を読了しました。原題は“One Day in the Afternoon of the World”で、少し意訳した日本語タイトルになっています。1964年…
コーマック・マッカーシー 黒原敏行訳 『ブラッド・メリディアン』 ハヤカワ文庫 コーマック・マッカーシー(1933-)の『ブラッド・メリディアン』を読了しました。原著の出版は1985年のことで、出世作となった『すべての美しい馬』(1992年)よりも前なので…
トマス・ピンチョン 佐藤良明訳 『ヴァインランド』 新潮社 トマス・ピンチョン(1937-)の『ヴァインランド』を読了しました。大作『重力の虹』から16年(17年?)の後、1990年に発表された本書は、1960年代に青春時代を過ごしたヒッピーたちの若き日の回想…
アーウィン・ショー 常盤新平訳 『夏の日の声』 講談社文庫 アーウィン・ショー(1913-1984)の『夏の日の声』を読了しました。息子の野球の試合を眺める現代パートと、自分の人生の来し方・半生を振り返る男の回想とが交互に語られる構造の長編小説です。19…
ハーディ 井上宗次・石田英二訳 『テス』 岩波文庫 トマス・ハーディ(1840-1928)の『テス』を読了しました。原題を直訳すると「ダーバヴィル家のテス」ですが、日本では単に「テス」の翻訳名で知られている作品です。主人公であるテスが苛烈な運命に巻き込…
J・コルタサル/O・パスほか 木村榮一/野谷文昭ほか訳 『短編コレクションⅠ』 河出書房新社 池澤夏樹個人編集による世界文学全集の一冊として刊行された『短編コレクションⅠ』を読了しました。南北アメリカ、アジア、そしてアフリカから短編小説が20篇収録…
バーナード・マラマッド 酒本雅之訳 『アシスタント』 荒地出版社 バーナード・マラマッド(1914-1986)の『アシスタント』を読了しました。寡作で知られているマラマッドですが、本書は彼が1957年に発表した小説第二作目です。私の手元にある本書は1969年に…
マーガレット・アトウッド 斎藤英治訳 『侍女の物語』 ハヤカワ文庫 マーガレット・アトウッド(1939-)の『侍女の物語』を読了しました。カナダの作家アトウッドは近年(たいていは前評判どおりにはいかな)ノーベル文学賞候補者として名前の挙げられる一人…
ヴァージニア・ウルフ 川本静子訳 『オーランドー』 みすず書房 ヴァージニア・ウルフ(1882-1941)の『オーランドー』を読了しました。性別や時間軸を超えた「伝記」として、ウルフの著作群のなかでも特異な存在感をはなっているのが本書です。ウルフが一時…
トマス・ピンチョン 佐藤良明訳 『重力の虹』 新潮社 トマス・ピンチョン(1937-)の『重力の虹』をようやく読了しました。1973年に発表されたピンチョンの代表作とされる本書は、全米図書賞を受賞するものの、ピュリッツァー賞は「読みにくく卑猥である」と…
アントニイ・バージェス 乾信一郎訳 『時計じかけのオレンジ』 ハヤカワ文庫 アントニイ・バージェス(1917-1993)の『時計じかけのオレンジ』を読了しました。本作はイギリスの作家・評論家であるバージェスの作品としてよりも、スタンリー・キキューブリッ…
ジャネット・ウィンターソン 岸本佐知子訳 『オレンジだけが果物じゃない』 白水Uブックス ジャネット・ウィンターソン(1959-)の『オレンジだけが果物じゃない』を読了しました。イギリスはマンチェスター生まれの作家であるウィンターソンが、24歳のとき…