中村白葉訳
トルストイ(1828-1910)の民話集を読了しました。
このブログを始めたきっかけは、ここ1〜2年ほどで海外文学を本格的に読み始めたからなのですが、その海外文学を本格的に読み始めるきっかけとなったのがトルストイの『戦争と平和』の読書体験でした。
20代の頃はロシア文学のヒーローはドストエフスキーで、30代になるとそれがトルストイになるという話を聞いたことがあるのですが、私の場合はまさにそのケースに当てはまりました。『クロイツェル・ソナタ』だったか短い作品を読んだ記憶はあるのですが、それまでトルストイをしっかり読んだ経験はなく、そろそろきちんと読んでおこうかと思って何気なく読み始めて、一気にはまってしまったという感じです。トルストイの魅力について熱弁する『ナボコフのロシア文学講義』を読んで、どれほどのものかと半信半疑に思っていたのですが、『戦争と平和』の構成力には本当に驚かされましたし、小説の持つパワーを感じました。
そんな経緯もあってトルストイ作品を読み進めているのですが、今回読んだ民話集はトルストイ晩年のいわゆる「回心」後に発表された作品であり、さらに民話を彼流にアレンジしたものである本作は、少し毛色の異なるものであるといえそうです。短い話ながらもトルストイの緊密な構成力の一端を感じることができる作品もあるのですが。
しかし結局のところ、西洋文化の深い理解のためには聖書に対する理解がなければならないと痛感した読書でもありました。まだまだ残りの人生やるべきことは多そうです…
【満足度】★★☆☆☆