文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

A・A・ミルン『ウィニー・ザ・プー』

A・A・ミルン 阿川佐和子

ウィニー・ザ・プー』 新潮文庫

 

A・A・ミルン(1882-1956)といえば『赤い館の秘密』という推理小説(読んだことはないのですが)の作者として名前を記憶していて、それがかの有名な黄色い熊の原作小説を書いていたとは知りませんでした。本書の解説では、そのモデルとなったクマのぬいぐるみや舞台となったイギリスの森のことにも触れられています。

 

児童文学と一口で言っても、たとえば小学校低学年と高学年とでは本に対する理解も変わってくるわけで、対象年齢によってその書きぶりもまったくといっていいほど変化するものなのでしょう。そうした意味では、この『ウィニー・ザ・プー』はかなり低年齢の児童を対象に書かれたものではないかと思います。子どもが喜びそうな言葉遊びが随所に見られ、韻を異にする言語に翻訳することの困難さが想像されます。

 

大人が読んで楽しめる本だったかと問われれば、それはちょっと…というのが今回の読書の感想でした。原文と訳文を見比べながら、この言葉遊び(だじゃれ)をどう訳しているのか見ていくことは、もしかするとひとつの楽しみ方なのかもしれませんが。

 

【満足度】★★☆☆☆