文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

『ベストストーリーズⅡ 蛇の靴』

若島正

『ベストストーリーズⅡ 蛇の靴』 早川書房

 

雑誌『ニューヨーカー』に掲載された短編小説をはじめとする作品について未訳のものを中心にアンソロジーとしてまとめた『ベストストーリーズ』。1960年代から1980年代までの作品が収録された第二巻を読了しました。第一巻と同様にほとんど通勤の電車の中で読み進めていました。さらにそのほとんどは立ったままの読書で、ハードカバーの本でも読もうと思えば電車で立ちながら読むことができるのだと気づきました。

 

本書で印象に残った作品を列挙しておきます。私にとっては初のイディッシュ作家作品の読書となった(イディッシュ語の英訳を日本語に訳したものですが)アイザック・バシェヴィス・シンガーの「手紙を書く人」。第二巻のタイトルにもなっている、アン・ビーティの『蛇の靴』、陳腐な言葉ですが、まさに才能の塊。マーク・ヘルプリンの「マル・ヌエバ」はちょうど同じタイミングで、ジュノ・ディアスの『オスカーワオの短く凄まじい人生」を読んでいたこともあって、とりわけ印象に残ったのかもしれません。

 

第二巻に収録されたすべての作家について、彼ら/彼女らの作品は未読でした。ふだんあまりアンソロジーのようなものは読まないのですが(CDでもコンピレーションものは基本的に嫌い、ベスト盤ですらあまり手を出さない)、新しい作家との出会いのきっかけを自ら潰してしまっていたのかもしれません。続く第三巻も楽しみに読み進めたいと思っています。

 

【満足度】★★★★☆