文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ジョン・アップダイク『イーストウィックの魔女たち』

ジョン・アップダイク 大浦暁生訳

イーストウィックの魔女たち』 新潮文庫

 

ジョン・アップダイク(1932-2009)の『イーストウィックの魔女たち』を読了しました。1984年に発表された作品で、日本ではその三年後の1987年には翻訳が出版されています。またその同じ1987年にはアメリカで映画化され、主人公である三人の魔女をシェール、スーザン・サランドン、そしてミシェル・ファイファーが演じています。また2000年にはミュージカルとしても制作され、海外をはじめ日本でも上演されているとのこと。

 

本書における「魔女」とはほとんど文字通りの意味で、主人公は自らの力で雷雨を引き起こしたりなど、ちょっとした(?)魔法を使うことができます。三十代の独身女性で自由恋愛を謳歌する彼女たちの前に、「悪魔的な」存在(こちらも文字通り)であるヴァン・ホーンという男性が現れて、恋愛や性愛をめぐるドタバタが繰り広げられるというのが本書の主なストーリーラインです。魔法という日常から逸脱するはずのものが、日常と地続きに描かれているという点ではこれを「マジックリアリズム」と呼ぶこともできるのかもしれませんが、アップダイク特有の「軽さ」が何となくその呼称を似つかわしくないものにしています。その軽さがさらに奥底に秘められたものを隠しているのだとは思いますが、それが何かについては今回の読書では感じ取ることができないまま。

 

寒波がやってきました。今年はあと何冊の本を読むことができるでしょうか。

 

【満足度】★★★☆☆