文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ホメロス『オデュッセイア』

ホメロス 松平千秋訳

オデュッセイア』 岩波文庫

 

ホメロスの『オデュッセイア』を読了しました。言わずとしれたギリシア最古の英雄叙事詩。『イリアス』で描かれたトロイア戦争終結した後、故郷へと戻るオデュッセウスの苦難の道のりと、祖国に巣食う悪辣な連中との帰国後の争いが描かれています。ジョイスの『ユリシーズ』を読む前に、本書を一度きちんと読んでおこうと思って手に取った次第です。

 

物語内の時系列は直線的ではなく、一つ目の巨人キュクロプスとの闘いや船乗りを惑わすセイレーンの歌のシーンなどは、オデュッセウスによる回想として語られます。また先に述べたように、オデュッセウスが故郷イタケーへ帰り着いた後に、王(オデュッセウス)の不在をいいことに妻に言いより、寄生して財産を食い潰している「求婚者たち」との闘いにも作中かなりの分量が割かれています。いろいろな挿話は既に見聞きしたことがあって何となく読んだ気になってしまうのですが、あらためて最初から通読してみると、気付かされることもあります。

 

【満足度】★★★★☆