文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

アーダベルト・シュティフター『石さまざま』

アーダベルト・シュティフター 高木久雄・林昭・田口義弘・松岡幸司・青木三陽訳

『石さまざま』 松籟社

 

アーダベルト・シュティフター(1805-1868)の『石さまざま』を読了しました。シュティフターは昔からなぜだか好きな作家で、大学時代からずっと愛読しています。本書『石さまざま』は6篇の作品からなる短編集ですが、そのうちの4作については岩波文庫の『水晶 他三篇』にて読んだことがある作品でした。「シュティフターコレクション」の1巻・2巻として上下に分けて刊行された本書は、その懐かしい記憶に導かれて手に取ったものです。

 

少年時代の祖父との記憶を辿る「花崗岩」や、清貧な神父の願いが印象的な「石灰石」、そして幼い兄妹と厳しくも幻想的な自然との邂逅を描いた「水晶」など、過去に読んだことのある作品もあらためて懐かしく読むことができました。「電気石」など本書で初めて触れる作品も、直接的な仕方ではないものの、「シュティフターらしさ」が感じられるような気がしました。

 

【満足度】★★★★☆