文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

一ノ瀬正樹『確率と曖昧性の哲学』

一ノ瀬正樹

『確率と曖昧性の哲学』 岩波書店

 

一ノ瀬正樹の『確率と曖昧性の哲学』を読了しました。ロックやヒュームなどのイギリス経験論の研究から、実践的な哲学論考に至るまで幅広く活躍している著者ですが、本書は「自然化された認識論」、「因果性」、「生物学の哲学」、「ソライティーズ・パラドクス」(砂山のパラドクス)、そして「自由」をテーマに、スリリングな議論が展開されています。

 

本書では、英米哲学界における最新の議論をフォローしながら、確率から曖昧性を理解するという大きな方針のもとで、様々なテーマに対する見取り図が描かれていきますが、ところどころで述べられる日本の哲学研究界隈のトピックス偏重に関する指摘も面白かったです。あまり馴染みのないテーマにも触れることができて、有意義な読書となりました。

 

【満足度】★★★★☆