文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

加藤尚武 責任編集『哲学の歴史 第7巻 理性の劇場【18-19世紀】』

加藤尚武 責任編集

『哲学の歴史 第7巻 理性の劇場【18-19世紀】』 中央公論新社

 

『哲学の歴史 第7巻 理性の劇場【18-19世紀】』を読了しました。西洋哲学の網羅的な歴史解説書ということで、かなり有用な書籍だと思うのですが、執筆者の“カラー”もまちまちで、これだけを読んで何かを理解するには難しいものがあると感じます。

 

本書は、カント、ヘーゲルをはじめとする18世紀から19世紀の「ドイツ観念論」の歴史を追った巻になります。福谷茂氏のカントの叙述は手堅いというか、敢えて教科書的な部分を外さないように書かれているのだと思いますが、カント哲学を「一つのサクセス・ストーリー」として表現してみせる書きぶりは新鮮なものがありました。ヘーゲルの章を担当した加藤尚武氏の筆致は相変わらずというか、面白いのですが、研究対象との距離の取り方は良くも悪くも冷静な印象がありました。

 

【満足度】★★★☆☆