文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ヘミングウェイ『われらの時代・男だけの世界 ―ヘミングウェイ全短編1―』

ヘミングウェイ 高見浩訳

『われらの時代・男だけの世界 ―ヘミングウェイ全短編1―』 新潮文庫

 

ヘミングウェイ(1899-1961)の『われらの時代・男だけの世界 ―ヘミングウェイ全短編1―』を読了しました。ヨーロッパでの戦争体験を経て、一度アメリカに帰国した後、再び渡欧してパリに住み、イタリアやスペインを旅行しながら、またアメリカへの帰国を挟みながら、書き継がれたのが本書に収められた短編群のようです。

 

行動の人であるヘミングウェイですが、そこで得られた一瞬の煌めきをスケッチすることについての才能には確かなものがあると感じさせられます。本書に収録された「殺し屋」に見られる乾いた絶望感など、心に残るものもありました。現代にあっても、この小説が新しいかと問われると、どうしても否定的な回答を返さざるを得ないと思いますが、それでもいくつかの描写に明らかな魅力を見て取れることができる作品であることは確かだと思います。

 

【満足度】★★★☆☆