文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ヴィーコ『学問の方法』

ヴィーコ 上村忠男・佐々木力訳

『学問の方法』 岩波文庫

 

ヴィーコ(1668-1744)の『学問の方法』を読了しました。ジャンバッティスタ・ヴィーコはイタリアの思想家で、ナポリの小さな本屋の息子として生まれたそうです。やがてナポリ大学の教授に就任したヴィーコが、1708年にナポリ大学で行った開講講演に加筆の上、翌1709年に出版された著作が本書で、原題は『われらの時代の学問方法について』。デカルト主義的な学問観・方法、すなわち自然を数学によって認識し理解しようとする手法に異議を唱えたのが本書であると言われています。

 

ヴィーコの認識論の基準は「真なるものは作られたものに等しい」というテーゼで表現されます。数学は実在から発見されたものではなく、人間の思考として作られたものであり、だからこそ私たちは数学において真理に到達することができる。しかし、自然の実体については私たちは何一つそれらを作り出すことができず、もし幾何学など数学の力を借りて自然についての知識を得たのだとしたら、私たちは自然を作ってしまっていることになります。デカルト流の数学的自然学の限界はここにあるといいます。

 

歴史上の思想家に向き合うとき、そこに現代的な意義を問う姿勢というのはやはり避けられないものだと思うのですが、単なる懐古主義になってしまっては本末転倒というか、歴史を学ぶことの難しさを感じてしまいます。

 

【満足度】★★★☆☆