ソログープ 中山省三郎・昇曙夢訳
『かくれんぼ・毒の園 他五篇』 岩波文庫
ソログープ(1863-1927)の『かくれんぼ・毒の園 他五篇』を読了しました。ソログープはロシア前期象徴主義を代表する詩人・作家とのことで、作品を読むのは初めてのことでした。「死」をテーマにした厭世的な作風という前情報に違わず、死に魅入られてしまった・取り憑かれてしまった人々の悲劇を繊細なタッチで描いています。
表題先のひとつである「かくれんぼ」は、静かな筆致で一歩ずつ悲劇的な結末へと歩み寄っていく様が印象的な作品でした。ミイラ取りがミイラになるように、この世の闇なる部分に吸い寄せられてしまう子と母の姿を描いた「光と影」も忘れがたい作品です。いつかソログープの長編作品も読んでみたいと感じさせられました。
【満足度】★★★★☆