文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ダニエル・アラルコン『ロスト・シティ・レディオ』

ダニエル・アラルコン 藤井光訳

『ロスト・シティ・レディオ』 新潮社

 

ダニエル・アラルコンの『ロスト・シティ・レディオ』を読了しました。彼の作品を読むのは『夜、僕らは輪になって歩く』に続いて二冊目です。出版されたのは本書の方が早く、本書はアラルコンにとっての初長編作品です。

 

舞台は内戦状態にある国。行方不明者への呼びかけを行う人気のラジオ番組「ロスト・シティ・レディオ」。そのパーソナリティである主人公ノーマと、彼女の夫、そしてジャングルからやって来た少年を巡る物語です。過去と現在の語りを複雑に入れ替えながらサスペンスを高めるかたちで構成されたプロットは、現代文学的ではあるのですが、どこか興ざめしてしまう部分もあって、あまり深く入り込むことができませんでした。しかし、戦争の哀しさはよく伝わってきます。

 

【満足度】★★★☆☆