『私たちがやったこと』 新潮文庫
レベッカ・ブラウンの『私たちがやったこと』を読了しました。以前に読んだ『体の贈り物』がエイズ患者の世話をするケアワーカーの視点から人々の生き様を描く作品であったのに対して、本書はどこか幻想的で不思議な感覚を持った作品群からなっています。
表題作の原題は“Folie à deux”というフランス語で、一人の妄想がもう一人の人物に伝染するという症状で感応精神病と訳されるようです。短編「私たちがやったこと」の冒頭で述べられる「安全のために」二人がやったことの異常さと、それゆえの絆のようなものと、必然のようにして起こる悲劇的な結末と、どこか現実離れした物語に引き込まれます。
【満足度】★★★☆☆