文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ニコライ・ゴーゴリ『死せる魂』

ニコライ・ゴーゴリ 東海晃久訳

『死せる魂』 河出書房新社

 

ニコライ・ゴーゴリ(1809-1852)の『死せる魂』を読了しました。死せる魂、すなわち死んでしまった農奴たちの名義を買い集めることで地主になろうと画策するチーチコフという男の物語です。本書は2016年に出版された新訳で、帯には「読まれざる古典」と書かれていますが…

 

未完の大作である本書はダンテの『神曲』にもなぞらえられることもあるようですが、本書の第一篇に登場する一癖もふた癖もある地主たちと主人公チーチコフの丁々発止のやり取りは大変面白く読むことができました。しかしいかんせん、訳文自体にも極めて癖がありすぎてそれが気になってたびたび読書の手を止めてしまうことになりました。伝えたい雰囲気というものはわかるのですが、なんというかもう少し主張の控えめな訳文にはできなかったのでしょうか。私の好みがそうだというだけかもしれませんが。

 

岩波文庫の古い訳文で読み返したくなってしまったのが何とも残念。

 

【満足度】★★☆☆☆