文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

永井均『翔太と猫のインサイトの夏休み 哲学諸問題へのいざない』

永井均

『翔太と猫のインサイトの夏休み 哲学諸問題へのいざない』 ナカニシヤ出版

 

永井均の『翔太と猫のインサイトの夏休み 哲学諸問題へのいざない』を読了しました。いわゆる「主観性」や<私>の問題を徹底する場所から哲学に切り込もうとする永井氏がおそらくは中学生から高校生向けに上梓した著作なのですが、高校生の頃に読んだときはその面白さに夢中になりながらも、やはり内容は難しいと感じていたことを覚えています。

 

その「難しさ」は(この手の)哲学特有の難しさで、「そもそも何が問題になっているのかピンとこない」部分に難しさがあるのですが、その難しさに背景知識無しの感覚で挑んでいた高校生の頃に比べて、ある程度体系的に哲学を学んだ現在の立場から本書を読み直してみたときに、果たして理解が深まっているかどうかと問われると心もとない部分があり、この点にこそこの手の哲学の難しさが存在しているのかもしれません。

 

【満足度】★★★★☆