文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

青木淳悟『いい子は家で』

青木淳悟

『いい子は家で』 ちくま文庫

 

青木淳悟(1979-)の『いい子は家で』を読了しました。青木さんの作品を読むのは、デビュー作である『四十日と四十夜のメルヘン』、そして三島賞受賞作の『私のいない高校』に続いて、本作で三冊目になります。何となく書店でチェックして、本を手に取って読んでしまう日本人作家のひとりです。

 

本書は「家族」をテーマに緩やかなつながりを持つ短編集ですが、様々な日常の断片の切り取り方や、小説としてのそれらの仕舞い方が何とも独特で、それらがいかにも「小説らしくない」という部分で、本書は独自の文学的興味深さを獲得しているように思います。『私のいない高校』もとても面白く読んだのですが、同じく「学校」をテーマにした本書収録の「飛翔―はばたき―」などが特に面白く、これからもフォローしていきたいと思います。

 

【満足度】★★★★☆