ヴァージニア・ウルフ 近藤いね子訳
『ダロウェイ夫人』 みすず書房
ヴァージニア・ウルフ(1882-1941)の『ダロウェイ夫人』を読了しました。この本は大学時代にたしか角川文庫の翻訳で読んで、まったく入り込むことができずに読書が終わって、ヴァージニア・ウルフに対する偏見めいた忌避感を私に植え付けることになった元凶の作品なのですが、今回あらためて、みすず書房のヴァージニア・ウルフコレクションで読み直すこととなりました。
前回ほどに訳の解らないままに読書が終わるということはなかったものの、今回の読書でも本書にはあまりのめり込むことができませんでした。『燈台へ』と比べてもまだ技法的に成熟していない感じがする(というと上から目線になってしまうのですが)のと、単純な印象批評で申し訳ないと思いながらも、どうしてもダロウェイ夫人の感情の揺れに共感を覚えることができない(昔の恋人のピーターについても同様)のが原因なのだとは思います。
【満足度】★★★☆☆