『現代思想の冒険者たち 第23巻 ロールズ―正義の原理』 講談社
川本隆史『現代思想の冒険者たち 第23巻 ロールズ―正義の原理』を読了しました。20世紀以降の倫理学の学び直しを計画していて、その取っ掛かりとしてロールズの『正義論』を読みたいと思っているのですが、さらにそのための助走として古本屋で購入してきた本書を手に取って読み進めていました。
現代社会の陰影や複雑さをそのままなぞるようなかたちで、倫理学の議論というものは、現実に即した力を持とうとすればするほどに、複雑なものになってくるのだと思います。「原理」として取り出そうという格闘の末に生まれたロールズの有名な正義の二原理ですら、カントの定言命法に比べれば複雑さを胚胎せざるを得ないものになっています。『正義論』における議論を丹念に追うことを目指すにあたって、本書の第四章における『正義論』のサマリーは有用なものになりそうです。
【満足度】★★★★☆