文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

『フィッツジェラルド短編集』

佐伯泰樹編訳

フィッツジェラルド短編集』 岩波文庫

 

フィッツジェラルド短編集』を読了しました。F・スコット・フィッツジェラルド(1896-1940)の短い生涯のうちに書かれた短編作品の中から、本書は訳者あとがきによると「短編集の決定版を編むつもりで」評価の定まった6作品が収録されたといいます。私が以前に新潮文庫の野崎さんの翻訳で読んで鮮烈な印象を持っている「氷の宮殿」は割愛されているようでしたが。

 

劈頭に置かれた「リッツ・ホテルほどもある超特大のダイヤモンド」は、たぶん初読だと思うのですが、SF的というか寓話的というか、フィッツジェラルドはこんな作品も書いていたのかと意外な思いに囚われました。仕事でローカル線に乗って片田舎の駅に向かう途中、そしてその帰りの電車を待つ真夏のホームでミネラルウォーターを飲みながら読みふけるにはちょうどいい短編集でした。結果的には。

 

【満足度】★★★☆☆