文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ミランダ・ジュライ『あなたを選んでくれるもの』

ミランダ・ジュライ 岸本佐知子訳 ブリジット・サイアー 写真

『あなたを選んでくれるもの』 新潮社

 

ミランダ・ジュライの『あなたを選んでくれるもの』を読了しました。アメリカのパフォーマンスアーティスト・映画監督・作家であるジュライが初小説集『いちばんここに似合う人』に続いて発表した散文作品が本書で、それはフォト・ドキュメンタリー、インタビュー集というべきものでした。

 

フリーペーパーに売買広告を出す人々に電話をかけ、インタビューをし、写真に撮るという過程と、ジュライの行き詰った映画製作とがシンクロするかたちで理想的な大団円を迎えるという本書の結末は、ドキュメンタリーとして“でき過ぎ”の感も否めないのですが、そうしたリアルなものの持つパワーをうまく作品に昇華させる手並みは、さすがというほかありません。(どうでもいい話ではありますが)インタビュー対象者に作品掲載の許可を取っているのかどうかという点がいささか気になってしまいましたが。

 

【満足度】★★★★☆