文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ヴァージニア・ウルフ『壁のしみ』

ヴァージニア・ウルフ 川本静子訳

『壁のしみ 短編集』 みすず書房

 

ヴァージニア・ウルフ(1882-1941)の『壁のしみ』を読了しました。「ヴァージニア・ウルフ コレクション」を読むのは本書で四冊目になります。15の短編が収録されており、それらが発表年代順に(1917年から1944年)並べられています。

 

壁のしみから連想を膨らませていく表題作は、意識の自由さをそのままに繋ぎ合わせてひとつの芸術作品に仕立て上げようとするウルフの創作技法をよく体現しています。一方で、訳者あとがきにもあるように、本書の中にはいわゆる伝統的なプロットづくりの手法に則って書かれたと思われる作品もあって、そうした意味で本書は彼女の作品世界を知るための良い入門編になっているような気がしました。

 

【満足度】★★★☆☆