文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

横山秀夫『ノースライト』

横山秀夫

ノースライト』 新潮社

 

横山秀夫の『ノースライト』を読了しました。2012年に発表された『64』も久しぶりの作品となりましたが、今年発表された本作もそれから実に9年ぶりの作品となります。もっとも本作は2004年から2006年に一度雑誌連載されていた作品で、今回の単行本の刊行にあたって全面的な改稿がなされているようです。

 

一級建築士を主人公として、ある一家の失踪をめぐる物語を主軸にしつつ、主人公と別れた妻と娘、バブル崩壊後に苦汁をなめた建築士たちの生き様がサイドストーリーとして描かれています。池井戸潤さんの小説を読んでいても感じることですが、私の年齢になってくると否応なく熱い「お仕事小説」に共感を覚えてしまいます。とりわけ、横山秀夫さんのプロットや表現の練り方は妥協を許さないところがあって、読者の気持ちを盛り上げるためのあらゆる努力が費やされている様を作品の中に感じ取ることができます。すっかり寝る間を惜しんで読みふけってしまいました。

 

【満足度】★★★★★