パヴェーゼ 河島英昭訳
『美しい夏』 岩波文庫
パヴェーゼ(1908-1952)の『美しい夏』を読了しました。本書はイタリアの夭折作家、チェーザレ・パヴェーゼが1948年に発表した作品で(実際は1940年頃に既に執筆されていたようですが)、1950年にイタリア最高の文学賞「ストレーガ賞を受賞しています。
16歳のジーニアを主人公に据えて、メンター(というよりも鏡)としてジーニアを導く19歳の女性アマーリアをもう一人の中心人物として描いた青春小説です。現代においても少女漫画のかたちで翻案されて、それがそのまま連続ドラマの原作になるといった展開が容易に空想されるような、そんな物語でもあります。都会の孤独とか、少女から女への成長とか、そんな使い古された言葉以外のもので本書を語れる術が、私にはないのが悲しいところです。
【満足度】★★★☆☆