文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

G・ライル『心の概念』

G・ライル 坂本百大・井上治子・服部裕幸訳

『心の概念』 みすず書房

 

G・ライル(1900-1976)の『心の概念』を読了しました。ライルがデカルトの神話と呼ぶ「機械の中の幽霊」やカテゴリーミステイクの議論によって、哲学史上あまりにも有名な本書ですが、まともに通読するのは今回が初めての経験になりました。

 

「方法を知ることと内容を知ること」の区別を強調しながら、これまでデカルトの神話によって語られてきた「心的な」事象はすべて、機械の中の幽霊を想定しなければならないような不合理な言説以外のものによって説明ができるという試みを展開していきます。その一つひとつの議論に立ち入って深く考察することはできませんでしたが、ひとまずようやく心の哲学の古典的作品のひとつを読むことができました。

 

【満足度】★★★☆☆