文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ブライアン・エヴンソン『ウインドアイ』

ブライアン・エヴンソン 柴田元幸

『ウインドアイ』 新潮社

 

ブライアン・エヴンソン(1966-)の『ウインドアイ』を読了しました。本書と同じく新潮クレストブックスから出版されている『遁走状態』を読んだときは、どことなくパッとしない印象だったエヴンソンなのですが、本書はとても面白く読むことができました。

 

本書に収録された作品群が醸し出している「得体の知れなさ」は、かなり禍々しい性格を備えたもので、異界の馬「ダップルグリム」を巡る物語などは、寓話のような体裁をとりながらも、その禍々しさゆえに意味づけの行為を封じられてしまう気がします。いつかエヴンソンの長編作品を読んでみたいのですが、翻訳されるのを気長に待ちたいと思います。

 

どうにも仕事が忙しくて読書の時間を取れないのですが、年末までには落ち着くでしょうか。

 

【満足度】★★★★☆