文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ローレン・グロフ『運命と復讐』

ローレン・グロフ 光野多恵子訳

『運命と復讐』 新潮社

 

ローレン・グロフ(1978-)の『運命と復讐』を読了しました。ニューヨーク生まれの作家というグロフの三番目の長編作品である本書は、全米図書賞、そして全米批評家協会賞の候補となった話題作です。

 

裕福な家庭に生まれながら、葛藤を抱えた青春期を過ごしたロットとその妻マチルドの物語。本書の前半は主として夫の視点から、マチルドとの劇的な出会いやその後の結婚生活も含めた彼の人生が描かれ、本書の後半ではロットの死後のマチルドの人生や、また妻の側から見たロットとの結婚生活について語られます。作中に顔を出す神の視点からの解説が煩わしく感じられてしまうのか、この大河小説を演出するひとつの効果的な装置として捉えるのか、今回の私にとっては少し勿体ぶった長すぎる小説のように感じられてしまったのですが。

 

【満足度】★★★☆☆