『カート・ヴォネガット全短編 3 夢の家』 早川書房
『カート・ヴォネガット全短編 3 夢の家』を読了しました。ヴォネガットの短編全集を読むのも本書で三巻目となりました。本書に収録された短編のテーマは、第二巻に引き続いてのテーマである「ロマンス」と「働き甲斐vs富と名声」です。後者のテーマが適切なものだったのかどうかについては、読了後に疑問を感じてしまう作品もありましたが。
SF作品はほとんど見られませんが、「エド・ルービーの会員制クラブ」など、サスペンスフルな作品もあります。「愛する妻子のもとに帰れ」の読後感は見事だと思いますし、「自慢の息子」も親子関係の見え方を転換してしまう切れ味鋭い展開が印象に残ります。総じて面白い作品集で、第一巻、第二巻よりも楽しむことができました。
【満足度】★★★★☆