文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

カミロ・ホセ・セラ『パスクアル・ドゥアルテの家族』

カミロ・ホセ・セラ 有本紀明訳

『パスクアル・ドゥアルテの家族』 講談社

 

カミロ・ホセ・セラ(1916-2002)の『パスクアル・ドゥアルテの家族』を読了しました。1989年のノーベル文学賞受賞者であるスペインの作家、カミロ・ホセ・セラが26歳のときに発表したデビュー作が本書です。

 

主人公のパスクアル・ドゥアルテの血に囚われた凄惨な人生を描いてみせた作品ですが、作者は転写者や送付者の存在といった枠構造を設けることで、本書にシンプルな「血の物語」に収まらない一捻りを与えています。田中慎弥氏の作品に通じる印象を覚えました。

 

【満足度】★★★☆☆