文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

シェリル・ミサック『プラグマティズムの歩き方 21世紀のためのアメリカ哲学案内』

シェリル・ミサック 加藤隆文訳

プラグマティズムの歩き方 21世紀のためのアメリカ哲学案内』 勁草書房

 

シェリル・ミサックの『プラグマティズムの歩き方 21世紀のためのアメリカ哲学案内』を読了しました。現代の気鋭のプラグマティストであるミサックが、プラグマティズムの歴史を概観して著したのが本書で、上下巻に分かれた構成となっています。

 

パース、ジェイムズ、デューイだけにとどまらずチョンシー・ライトやルイスなどの思想家についても独立した章を設けて論じており、またクワインプラグマティズムとの関わりについても触れるなど、幅広い目配りが行われています。そして彼女は、ローティ、パトナムを経て現代のプラグマティズムへと至る流れの中で、ローティーを(デューイではなく)ジェイムズと引き付けながらその功罪を挙げて、パース哲学の復権を予見してみせます。

 

21世紀の英米哲学、そして世界の哲学的潮流がどこに向かっているのか、本書はその一端に触れるための入門書でもあると言えるのではないかと思います。

 

【満足度】★★★★☆