バルガス=リョサ(1936-)の『密林の語り部』を読了しました。本書が発表されたのは1987年のことで、大統領選に出馬する1990年の少し前ということになります。第二作『緑の家』でも描かれたアマゾンの未開部族の中に分け入って「語り部」となった男の姿を、本書の語り手である私が回想するという物語なのですが、そのなかで物語ることの本質についての考察がなされます。
コンパクトにまとまった作品で、バルガス=リョサの成熟を感じさせられますが、いくぶん物足りなさも残るのでした。
【満足度】★★★☆☆