文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ロバート・A・ハインライン『輪廻の蛇』

ロバート・A・ハインライン 矢野徹・他訳

『輪廻の蛇』 ハヤカワ文庫

 

ロバート・A・ハインライン(1907-1988)の『輪廻の蛇』を読了しました。アメリカのSF作家・ハインラインの短編集です。原書の表題作は、本作とは異なり「ジョナサン・ホーグ氏の不愉快な職業」であり、同作は本書の半分以上を占める中篇作品です。日本では「輪廻の蛇」が表題作になっているのは、その受容史に由来があるのでしょうか。

 

「輪廻の蛇」はお互いに足を食べあう蛇の姿をアナロジカルなシンボルとして、タイムリープに伴うパラドクスが描かれます。ただし、そこで描かれているものは、そのシンボルからイメージされる二対の蛇よりも一歩先に進んで、いわば「三位一体」とでも言うべきものになっています。ハインライン作品はいくつかしか読んだことがないのですが、SFらしいSFという印象です。

 

【満足度】★★★☆☆