文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ヘニング・マンケル『タンゴステップ』

ヘニング・マンケル 柳沢由実子訳

『タンゴステップ』 創元推理文庫

 

ヘニング・マンケル(1948-2015)の『タンゴステップ』を読了しました。スウェーデンの人気作家で、刑事クルト・ヴァランダーを主人公とするシリーズがつとに有名です。本書はノンシリーズものの作品ですが、同じくスウェーデンを舞台にした警察小説です。組織を描くというよりは、どちらかというとハードボイルド寄りの作品になっています。

 

スウェーデン北部の森林地帯であるヘリェダーレン地方を主な舞台として展開される物語は、徐々に寒さを感じるようになってきた今の季節とも相まって、今読むにはぴったりだったのかもしれません。本書で描かれたスウェーデン社会の「情勢」がどこまでリアルなものなのかは解らないのですが、移民の増加、極右勢力の台頭など、ヨーロッパ諸国が抱える課題のプロトタイプを示すかのようにスウェーデン社会は激変しているのだと感じさせられます。

 

【満足度】★★★☆☆