文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ベン・ラーナー『10:04』

ベン・ラーナー 木原善彦

『10:04』 白水社

 

ベン・ラーナー(1979-)の『10:04』を読了しました。詩人であり作家であるベン・ラーナーの作品は、ポール・オースターやジョナサン・フランゼンといった作家からの評価も高いとのこと。本書の帯には「米の若手作家による『遊歩(フラヌール)』小説」と書かれていますが、ゼーバルトの『アウステルリッツ』やテジュ・コールの『オープン・シティ』などの作品と比べる向きもあるようです。

 

私にとってはどちらかというと、比較的最近の作品でいえば、トーマス・メレの『背後の世界』の読後感と近しいものがあったのですが、日本風にいえば「私小説」、ただ自らを世界に向けてさらけ出すというよりは、自分という多様な存在のフィルターを通して見える世界の有様を描くというスタイルが、何とも21世紀的であるという印象でした。

 

【満足度】★★★☆☆