文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

サローヤン『ヒューマン・コメディ』

サローヤン 小川敏子訳

『ヒューマン・コメディ』 光文社古典新訳文庫

 

サローヤン(1908-1981)の『ヒューマン・コメディ』を読了しました。アルメニア人移民の2世として生まれたサローヤンが1943年に発表した長編作品が本書『ヒューマン・コメディ』です。『僕の名はアラム』の3年後に発表された本書は、電報配達人として働く14歳のホーマーを主人公に、家族、職場、学校、そして地域の人々との暖かな、時にほろ苦い交流が描かれます。

 

予定調和的な部分もあるものの、一つひとつのシーン描写が丁寧なのがサローヤン作品の魅力です。戦争と死を巡る電報配達のドラマチックさもさることながら、教育に自身の信念を傾けるヒックス先生の矜持など、メインストーリーからサブストーリにいたるまで読みどころ満載です。

 

【満足度】★★★★☆