文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ダレル・P・ロウボトム『確率』

ダレル・P・ロウボトム 佐竹祐介訳

『確率』 岩波書店

 

ダレル・P・ロウボトムの『確率』を読了しました。岩波書店から刊行された「現代哲学のキーコンセプト」シリーズの一冊です。「確率」=“Proability”を巡る議論が見通しよく整理された良書です。

 

本書では、確率は頻度なのか主観なのかという対立軸を「世界ベースの見解」と「情報ベースの見解」という独自の表現で区分けしてみせながら、確率の論理的解釈、主観的解釈、客観的ベイズ主義、頻度説、傾向性解釈といった様々な確率解釈が紹介されています。間主観的な確率について触れられていることもポイントの一つです。確率を巡る誤謬やパラドックスの紹介、また確率の公理やベイズの定理なども付録として入った、確率の哲学に関するコンパクトな教科書になっています。

 

【満足度】★★★★☆