文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ソール・A・クリプキ『名指しと必然性』

ソール・A・クリプキ 八木沢敬・野家啓一

『名指しと必然性』 産業図書

 

ソール・A・クリプキ(1940-)の『名指しと必然性』を読了しました。ラッセルによる確定記述に基づく固有名の解釈に真っ向から反対して、指示の因果説を提唱した20世紀の言語哲学における必読文献のひとつです。

 

本書の副題は「様相の形而上学と心身問題」なのですが、指示の理論と密接に結びついた前者(様相)はもちろん、本書の後半では足早な仕方ではありますが「心身問題」についても語られます。同一性とは必然的な関係であるという洞察から、心脳同一説の否定へと至るクリプキの議論はとても切れ味が鋭いのですが、あまりに簡潔すぎてちょっとどうなのだろうという気がします。

 

【満足度】★★★☆☆