文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ウィリアム・ゴールディング『後継者たち』

ウィリアム・ゴールディング 小川和夫訳

『後継者たち』 ハヤカワ文庫

 

ウィリアム・ゴールディング(1911-1993)の『後継者たち』を読了しました。少年たちの過酷なサバイバルと殺戮を描いた第一作目の『蝿の王』が有名なゴールディングですが、本書はそれに続いて発表された第二作目の長編作品です。ネアンデルタール人ホモサピエンスとの遭遇から闘争に至るまでの様を、ネアンデルタール人の視点から描くという趣向の小説なのですが、それほど感銘を受ける部分はなかったというのが正直なところ。

 

本書の解説に書かれた著者ゴールディングの生い立ちが興味深く、幼年時を回想した小品であるという『梯子と樹木』を読んでみたいと感じました。小説作品よりもその思想の方に興味が向いてしまうのは私の悪い癖なのかもしれませんが(ナボコフの警句が思い出されます)。

 

【満足度】★★★☆☆