文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

古川日出男『ハル、ハル、ハル』

古川日出男

『ハル、ハル、ハル』 河出書房新社

 

古川日出男の『ハル、ハル、ハル』を読了しました。2007年に出版された本書には、表題作のほかに、「スローモーション」、「8ドッグズ」という2篇の短編が収録されています。表題作は次のようなメタ的な言説から幕を開けます。

 

この物語はきみが読んできた全部の物語の続編だ。ノワールでもいい。家族小説でもいい。ただただ疾走しているロード・ノベルでも。

 

収束して現実へと至るまでの物語が続く間の高揚感を切り取った作品です。意図的に速度を重視した文体で綴られるこの技法の先にあるものが何であるのか、見極めたいと思うのですが。

 

【満足度】★★★☆☆