文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

スティーヴン・キング『ダークタワーⅡ 運命の三人』

スティーヴン・キング 風間賢二訳

ダークタワーⅡ 運命の三人』 角川文庫

 

スティーヴン・キングの『ダークタワーⅡ 運命の三人』を読了しました。ダークファンタジーという世界観にはやはり馴染めぬところがあるものの、異世界を主な舞台とした前作から一転して、現実世界と思しき世界と不思議な扉でリンクすることで、主人公のガンスリンガーは「運命の三人」との出会いを果たします。この運命の三人はといえば、麻薬中毒者、二つの人格が内に住まう女性、そして無差別殺人愛好者と、いずれも闇を抱えた人物造形で、容易な感情移入を拒むものがあります。こうしたところはスティーヴン・キングらしいと思わされます。

 

現実世界で繰り広げられる物語とその描写の方に面白みを感じてしまうわけですが、この境界線の曖昧さを意識すること、そしてそれを解体することこそキングが意識していたことなのだとすれば、これから本シリーズを詠み進めていくうちに、私の予感は良い方向に裏切られるのかもしれません。

 

【満足度】★★★☆☆