文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

J.D.サリンジャー『ナイン・ストーリーズ』

J.D.サリンジャー 野崎孝訳 『ナイン・ストーリーズ』 新潮文庫 J.D.サリンジャー(1919-2010)の『ナイン・ストーリーズ』を読了しました。熱狂的なファンの多いサリンジャーですが、高校生のときに本書を読んだときはあまりピンと来ることはなくて、今回の…

G・ガルシア=マルケス『族長の秋 他6篇』

G・ガルシア=マルケス 鼓直 他訳 『族長の秋 他6篇』 新潮社 ガルシア=マルケス(1928-2014)の『族長の秋 他6篇』を読了。「族長の秋」については学生時代に集英社文庫で読んだことがあります。「他6篇」とある短編作品群については『エレンディラ』として…

コーマック・マッカーシー『すべての美しい馬』

コーマック・マッカーシー 黒原敏行訳 『すべての美しい馬』 ハヤカワ文庫 コーマック・マッカーシー(1933-)の『すべての美しい馬』を読了しました。昨年末頃に彼の『ザ・ロード』を読んで、冬の寒さも相まって荒涼とした世界の描写とそのなかで感じられる…

ジョゼ・サラマーゴ『見知らぬ島への扉』

ジョゼ・サラマーゴ 黒木三世訳 『見知らぬ島への扉』 アーティストハウス ジョゼ・サラマーゴ(1922-2010)の『見知らぬ島への扉』を読了しました。ジョゼ・サラマーゴは1998年にノーベル文学賞を受賞したポルトガルの作家で、本書が日本で出版されたのは20…

ヴァージニア・ウルフ『燈台へ』

ヴァージニア・ウルフ 伊吹知勢訳 『燈台へ』 みすず書房 ヴァージニア・ウルフ(1882-1941)の『燈台へ』を読了しました。昨年の秋頃だったか、仕事帰りに立ち寄った古本市で、みすず書房の『ヴァージニア・ウルフ コレクション』の美本が安く売られている…

トルストイ『復活』

トルストイ 藤沼貴訳 『復活』 岩波文庫 トルストイ(1828-1910)が晩年に記した長編『復活』を読了しました。『戦争と平和』を読んでトルストイのすごさに開眼させられ、『アンナ・カレーニナ』を読んでその構成力に驚かされ、この『復活』についても期待し…

カズオ・イシグロ『遠い山なみの光』

カズオ・イシグロ 小野寺健訳 『遠い山なみの光』 ハヤカワ文庫 カズオ・イシグロ(1954-)の『遠い山なみの光』を読了しました。『日の名残り』と同様に学生時代に一度読んだことのある作品で、当時読んだのはちくま文庫で『女たちの遠い夏』というタイトル…

レイモンド・カーヴァー『愛について語るときに我々の語ること』

レイモンド・カーヴァー 村上春樹訳 『愛について語るときに我々の語ること』 中古公論新社 レイモンド・カーヴァー(1938-1988)の全集第2巻である『愛について語るときに我々の語ること』を読了。この巻はもうあまり流通していないのか、近隣の書店はもち…

A・A・ミルン『ウィニー・ザ・プー』

A・A・ミルン 阿川佐和子訳 『ウィニー・ザ・プー』 新潮文庫 A・A・ミルン(1882-1956)といえば『赤い館の秘密』という推理小説(読んだことはないのですが)の作者として名前を記憶していて、それがかの有名な黄色い熊の原作小説を書いていたとは知りませ…

モーパッサン『ベラミ』

モーパッサン 中村佳子訳 『ベラミ』 角川文庫 モーパッサン(1850-1893)の第二長編である『ベラミ』を読了しました。本書のタイトルになっている「ベラミ」とは「bel ami」つまり「美しいひと」という意味で、本書の主人公である美青年デュロワに対して、…

サキ『サキ短編集』

サキ 中村能三訳 『サキ短編集』 新潮文庫 サキ(1870-1916)の短編集を読了しました。短編の名手として知られるサキですが、実際に作品を読んだのは今回が初めてでした。サキというのは筆名で、ペルシアの詩人・オマル・ハイヤーム(1048-1131)の『ルバイ…

カズオ・イシグロ『日の名残り』

カズオ・イシグロ 土屋政雄訳 『日の名残り』 ハヤカワ文庫 カズオ・イシグロ(1954-)の『日の名残り』を読了。本書を読むのは大学時代に続いて二回目のことでした。2017年にノーベル文学賞を受賞したおかげもあってか、古本屋にきれいな新古書があふれてい…

ジェームズ・M・バリー『ピーター・パンとウェンディ』

ジェームズ・M・バリー 大久保寛訳 『ピーター・パンとウェンディ』 新潮文庫 ジェームズ・M・バリー(1860-1937)の『ピーター・パンとウェンディ』を『ピーター・パンの冒険』に続いて新潮文庫の新訳で読了しました。『ピーター・パンの冒険』はケンジント…

アゴタ・クリストフ『ふたりの証拠』

アゴタ・クリストフ 堀茂樹訳 『ふたりの証拠』 ハヤカワ文庫 アゴタ・クリストフ(1935-2011)はハンガリー出身でスイスに移り住んだ後、フランス語で小説を書いたそうです。そしてその第一作目『悪童日記』(フランス語の原題は“Le garnd cahier”で『大き…

ダニエル・アラルコン『夜、僕らは輪になって歩く』

ダニエル・アラルコン 藤井光訳 『夜、僕らは輪になって歩く』 新潮社 新潮クレスト・ブックスは、お洒落な装丁に手になじむソフトカバーでついつい手に取ってみたくなるのですが、それが現代の海外作家の作品を知らせてくれることにも繋がって、本当に良い…

ライマン・フランク・ボーム『オズの魔法使い』

ライマン・フランク・ボーム 河野万里子訳 にしざかひろみ絵 『オズの魔法使い』 新潮文庫 ライマン・フランク・ボーム(1856-1919)の『オズの魔法使い』を読了。本書も『ピーター・パンの冒険』などの作品と同様に、新潮文庫の新訳がなければ手に取ること…

『トルストイ民話集 人は何で生きるか 他4篇』

中村白葉訳 『トルストイ民話集 人は何で生きるか 他4篇』 岩波文庫 トルストイ(1828-1910)の民話集を読了しました。 このブログを始めたきっかけは、ここ1〜2年ほどで海外文学を本格的に読み始めたからなのですが、その海外文学を本格的に読み始めるきっ…

シャミッソー『影をなくした男』

シャミッソー 池内紀訳 『影をなくした男』 岩波文庫 アーデルベルト・フォン・シャミッソー(1781-1838)はフランスに生まれながら、フランス革命により家族でドイツに亡命し、ドイツで詩人そして植物学者として活躍した人物です。そんなシャミッソーが友人…