文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ゴールズワージー『林檎の樹』

ゴールズワージー 法村里絵訳 『林檎の樹』 新潮文庫 ゴールズワージー(1867-1933)の『林檎の樹』を読了しました。イギリスの作家で1932年のノーベル文学賞受賞作家でもあるゴールズワージーですが、その作品を読むのは初めてのこと。本作は川端康成が愛し…

伊勢田哲治『疑似科学と科学の哲学』

伊勢田哲治 『疑似科学と科学の哲学』 名古屋大学出版会 伊勢田哲治の『疑似科学と科学の哲学』を読了しました。科学哲学の基礎を学び直す中での再読です。本書は疑似科学と科学の「線引き問題」をテーマにしながら、科学哲学上の主要なトピックスについての…

ジークフリート・レンツ『遺失物管理所』

ジークフリート・レンツ 松永美穂訳 『遺失物管理所』 新潮社 ジークフリート・レンツ(1926-2014)の『遺失物管理所』を読了しました。戦後のドイツ文学を代表する作家のひとりであるジークフリート・レンツ。日本での翻訳紹介は1970年代以来ぱったりと途絶…

星新一『ボッコちゃん』

星新一 『ボッコちゃん』 新潮文庫 星新一(1926-1997)の『ボッコちゃん』を読了しました。日本SF作家の草分け的存在であり、ショートショートの名手としても知られる著者の作品ですが、本書はその著者自身による自選作品集です。それほど長いとはいえない…

ロダーリ『猫とともに去りぬ』

ロダーリ 関口英子訳 『猫とともに去りぬ』 光文社古典新訳文庫 ロダーリ(1920-1980)の『猫とともに去りぬ』を読了しました。イタリアでは広く知られた児童文学作家のロダーリですが、私は本書を手に取るまで彼のことをまったく知りませんでした…。物語の…

アリストテレス『魂について』

アリストテレス 中畑正志訳 『魂について』 京都大学学術出版会 アリストテレスの『魂について』を読了しました。哲学を学ぶ人は、本書を読んでいなければ「モグリ」と言われるらしいですが、それほど多方面に影響を与え、歴史上の多くの哲学者たちに言及さ…

中畑正志『魂の変容 心的基礎概念の歴史的構成』

中畑正志 『魂の変容 心的基礎概念の歴史的構成』 岩波書店 中畑正志の『魂の変容 心的基礎概念の歴史的構成』を読了しました。本書は西洋古代哲学の研究者、とりわけアリストテレス研究者として知られる著者の論文集です。しかし論文集とはいってもそこには…

トム・マッカーシー『もう一度』

トム・マッカーシー 栩木玲子訳 『もう一度』 新潮社 トム・マッカーシー(1969-)の『もう一度』を読了しました。虚構アート集団「国際ネクロノーティカル協会」の一員として活動するというイギリスの作家です(「協会員」としてどのような活動をしているの…

N・R・ハンソン『科学的発見のパターン』

N・R・ハンソン 村上陽一郎訳 『科学的発見のパターン』 講談社学術文庫 ノーウッド・ラッセル・ハンソン(1924-1967)の『科学的発見のパターン』を読了しました。最近は文学作品を離れて哲学関連の本を読むことが増えてきましたが、その時々の興味関心が高…

レイモンド・カーヴァー『水と水とが出会うところ/ウルトラマリン』

レイモンド・カーヴァー 村上春樹訳 『水と水とが出会うところ/ウルトラマリン』 中央公論新社 レイモンド・カーヴァー(1938-1988)の『水と水とが出会うところ/ウルトラマリン』を読了しました。カーヴァーの全集を順番に読み進めてきましたが、本書はい…

冨田恭彦『ローティ 連帯と自己超克の思想』

冨田恭彦 『ローティ 連帯と自己超克の思想』 筑摩書房 冨田恭彦『ローティ 連帯と自己超克の思想』を読了しました。ロック研究者として知られる著者は『ロック哲学の隠された論理』の中で、『人間知性論』におけるロックの言説は実はほとんどが正しかったの…

ジョン・アップダイク『走れウサギ』

ジョン・アップダイク 宮本陽吉訳 『走れウサギ』 白水社 ジョン・アップダイク(1932-2009)の『走れウサギ』を読了しました。本書がアメリカで出版されたのは1960年のことで、そのときアップダイクは27歳か28歳、本書の主人公である「ウサギ」ことハリーは…

伊藤邦武『プラグマティズム入門』

伊藤邦武 『プラグマティズム入門』 ちくま新書 伊藤邦武の『プラグマティズム入門』を読了しました。パース、ジェイムズ、デューイという古典的プラグマティストから、クワイン、ローティー、パトナムといったネオ・プラグマティスト、さらには21世紀におけ…

ジョゼ・サラマーゴ『白の闇』

ジョゼ・サラマーゴ 雨沢泰訳 『白の闇』 NHK出版 ジョゼ・サラマーゴ(1922-2010)の『白の闇』を読了しました。本書はポルトガルの作家でノーベル文学賞を受賞しているジョゼ・サラマーゴの代表作です。訳者あとがきによると日本語訳の底本は英訳版で、適…

フッサール『デカルト的省察』

フッサール 浜渦辰二訳 『デカルト的省察』 岩波文庫 フッサール(1859-1938)の『デカルト的省察』を読了しました。現象学の創始者である哲学者フッサールの後期の主著といってよいのでしょうか。近世哲学の祖・デカルトにならって、絶対的な明証性からなる…