文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

山本明利・左巻健男編著『新しい高校物理の教科書』

山本明利・左巻健男編著 『新しい高校物理の教科書』 講談社 山本明利・左巻健男編著『新しい高校物理の教科書』を読了しました。いまさらのように高校物理の学び直しなのですが、公式の斜め読みではあまり知識が蘇ってきたという感覚はなく、やはり手を動か…

マヌエル・プイグ『蜘蛛女のキス』

マヌエル・プイグ 野谷文昭訳 『蜘蛛女のキス』 集英社文庫 マヌエル・プイグ(1932-1990)の『蜘蛛女のキス』を読了しました。アルゼンチンの作家プイグは、ガルシア=マルケスよりはやや年下で、バルガス=リョサよりはやや年上という年代にあたり、サブカル…

内山勝利 責任編集『哲学の歴史 第2巻 帝国と賢者【古代Ⅱ】』

内山勝利 責任編集 『哲学の歴史 第2巻 帝国と賢者【古代Ⅱ】』 中央公論新社 『哲学の歴史 第2巻 帝国と賢者【古代Ⅱ】』を読了しました。本巻では、エピクロス学派、初期ストア学派から始まって、古代懐疑主義、中期ストア学派、ヘレニズム期の科学思想、ロ…

古川日出男『ゴッドスター』

古川日出男 『ゴッドスター』 新潮文庫 古川日出男の『ゴッドスター』を読了しました。2007年に発表された本書は、既に一定の読者と評価を得ていた著者が、単なる若書きということではなく極めて意図的に創作した作品なのだと推察しますが、作品の特徴を一言…

乗代雄介『十七八より』

乗代雄介 『十七八より』 講談社 乗代雄介の『十七八より』を読了しました。第58回群像新人文学賞受賞作で、著者のデビュー作品です。主人公である女子高生の日常が、著者の読書量に裏打ちされたペダンチックな筆致で描かれています。主人公の言動の裏側に見…

ジョン・チーヴァー『巨大なラジオ/泳ぐ人』

ジョン・チーヴァー 村上春樹訳 『巨大なラジオ/泳ぐ人』 新潮社 ジョン・チーヴァー(1912-1982)の『巨大なラジオ/泳ぐ人』を読了しました。雑誌『ザ・ニューヨーカー』御用達の作家で、短編小説の名手といわれたチーヴァーの選集です。作品のセレクトも…

R・ラードナー『アリバイ・アイク ラードナー傑作選』

R・ラードナー 加島祥造訳 『アリバイ・アイク ラードナー傑作選』 新潮文庫 R・ラードナー(1885-1933)の『アリバイ・アイク ラードナー傑作選』を読了しました。ラードナーは年代的にはヘミングウェイやフォークナーよりも少し上の世代に属し、若き日の…

グレアム・スウィフト『ウォーターランド』

グレアム・スウィフト 真野泰訳 『ウォーターランド』 新潮社 グレアム・スウィフト(1949-)の『ウォーターランド』を読了しました。現代イギリス作家であるスウィフトの小説を読むのは中編作品『マザリング・サンデー』に続いて二冊目となります。本書は翻…

J・M・クッツェー『夷狄を待ちながら』

J・M・クッツェー 土岐恒二訳 『夷狄を待ちながら』 集英社文庫 J・M・クッツェー(1940-)の『夷狄を待ちながら』を読了しました。本書はクッツェーの第三作目となる長編小説で、ブッカー賞を受賞した『マイケル・K』の三年前に発表された作品です。発表さ…

P・G・ウッドハウス『ジーヴズの事件簿 才知縦横の巻』

P・G・ウッドハウス 岩永正勝・小山太一編訳 『ジーヴズの事件簿 才知縦横の巻』 文春文庫 P・G・ウッドハウス(1881-1975)の『ジーヴズの事件簿 才知縦横の巻』を読了しました。イギリスのユーモア作家であるウッドハウスの「ジーヴスシリーズ」の作品を独…

ウンベルト・エーコ『バウドリーノ』

ウンベルト・エーコ 堤康徳訳 『バウドリーノ』 岩波文庫 ウンベルト・エーコ(1932-2016)の『バウドリーノ』を読了しました。イタリアの記号学者・哲学者であるエーコは、映画化もされたベストセラー小説の作家としてもよく知られています。中世ヨーロッパ…

『カート・ヴォネガット全短編 4 明日も明日もその明日も』

大森望 監修・浅倉久志 他 訳 『カート・ヴォネガット全短編 4 明日も明日もその明日も』 早川書房 『カート・ヴォネガット全短編 4 明日も明日もその明日も』を読了しました。ヴォネガットの短編全集は本書で最後となります。「ふるまい」、「リンカーン高…