文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

フエンテス『アルテミオ・クルスの死』

フエンテス 木村榮一訳 『アルテミオ・クルスの死』 岩波文庫 カルロス・フエンテス(1928-2012)の『アルテミオ・クルスの死』を読了しました。メキシコの作家フエンテスが1962年に発表した長編作品で、『テラ・ノストラ』や『老いぼれグリンゴ』などの作品…

モーパッサン『わたしたちの心』

モーパッサン 笠間直穂子訳 『わたしたちの心』 岩波文庫 モーパッサン(1850-1893)の『わたしたちの心』を読了しました。生涯で六編の長編作品を発表したモーパッサンですが、その最後の作品にあたるのが本書『わたしたちの心』です。訳者による解説でモー…

パトリック・モディアノ『失われた時のカフェで』

パトリック・モディアノ 平中悠一訳 『失われた時のカフェで』 作品社 パトリック・モディアノ(1945-)の『失われた時のカフェで』を読了しました。いくつかの視点から語られる「ルキ」を巡る物語は、これまでに読んだモディアノ作品と同様に、相変わらず霧…

アザリーン・ヴァンデアフリートオルーミ『私はゼブラ』

アザリーン・ヴァンデアフリートオルーミ 木原善彦訳 『私はゼブラ』 白水社 アザリーン・ヴァンデアフリートオルーミ(1983-)の『私はゼブラ』を読了しました。イラン系アメリカ人である作者が描く、文学に取り付かれた現代のドン・キホーテの物語です。『…

アン・パチェット『ベル・カント』

アン・パチェット 山本やよい訳 『ベル・カント』 ハヤカワ文庫 アン・パチェット(1963-)の『ベル・カント』を読了しました。2001年に発表された本書はPEN/フォークナー賞を受賞しています。南米のとある国を舞台に、日本企業の社長の誕生パーティー会場を…

トーマス・マン『詐欺師フェーリクス・クルルの告白』

トーマス・マン 岸美光訳 『詐欺師フェーリクス・クルルの告白』 光文社古典新訳文庫 トーマス・マン(1875-1955)の『詐欺師フェーリクス・クルルの告白』を読了しました。世界各国はもとより、マンの作品は日本でもよく読まれていると思うのですが、本作品…

ドストエフスキー『白夜/おかしな人間の夢』

ドストエフスキー 安岡治子訳 『白夜/おかしな人間の夢』 光文社古典新訳文庫 ドストエフスキー(1821-1881)の『白夜/おかしな人間の夢』を読了しました。中編作品「白夜」はデビュー3年後のドストエフスキーが27歳の時に発表された作品で、白夜の四日間…