文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

チャペック『ロボット(R.U.R.)』

チャペック 千野栄一訳 『ロボット(R.U.R.)』 岩波文庫 カレル・チャペック(1890-1938)の『ロボット(R.U.R.)』を読了しました。チェコの作家であるカレル・チャペックが著したあまりにも有名な戯曲作品で、本作品が「ロボット」という言葉の由来になっ…

『オルラ/オリーヴ園 モーパッサン傑作選』

太田浩一訳 『オルラ/オリーヴ園 モーパッサン傑作選』 光文社古典新訳文庫 『オルラ/オリーヴ園 モーパッサン傑作選』を読了しました。光文社古典新訳文庫で刊行されているモーパッサンのオリジナル編集の短編作品集です。後期の作品の中かからセレクトさ…

カルヴィーノ『魔法の庭・空を見上げる部族 他十四編』

カルヴィーノ 和田忠彦訳 『魔法の庭・空を見上げる部族 他十四編』 岩波文庫 イタロ・カルヴィーノ(1923-1985)の『魔法の庭・空を見上げる部族 他十四編』を読了しました。カルヴィーノの初期短編集『魔法の庭』に五編の短編作品を追加した作品集です。カ…

ジェイムズ・エルロイ『LAコンフィデンシャル』

ジェイムズ・エルロイ 小林宏明訳 『LAコンフィデンシャル』 文春文庫 ジェイムズ・エルロイ(1948-)の『LAコンフィデンシャル』を読了しました。『ブラック・ダリア』に始まる「暗黒のL.A.」四部作の第三作目に当たる作品なのですが、私が読むことになった…

我孫子武丸『腐食の街』

我孫子武丸 『腐食の街』 双葉文庫 我孫子武丸の『腐食の街』を読了しました。古本屋でふと手に取った本書ですが、原著の刊行は1995年で、「近未来SF」と紹介されることのある本書の粗筋は、2022年の現在にあって何とも現代的な感じがして、面白く読むことが…

アンドレイ・サプコフスキ『ウィッチャーⅡ 屈辱の刻』

アンドレイ・サプコフスキ 川野靖子訳 『ウィッチャーⅡ 屈辱の刻』 ハヤカワ文庫 アンドレイ・サプコフスキ(1948-)の『ウィッチャーⅡ 屈辱の刻』を読了しました。ポーランドの人気ファンタジー作品の長編第二作目です。作品内の世界情勢が大きく動き出す契…

トニ・モリスン『パラダイス』

トニ・モリスン 大社淑子訳 『パラダイス』 ハヤカワ文庫 トニ・モリスン(1931-2019)の『パラダイス』を読了しました。1993年のノーベル賞受賞後に初めて発表された作品が本書なのですが、層を成す厚みのある語りと緊密な構成が特徴の大作です。そして、一…

大江健三郎『M/Tと森のフシギの物語』

大江健三郎 『M/Tと森のフシギの物語』 講談社文庫 大江健三郎の『M/Tと森のフシギの物語』を読了しました。1986年に刊行された本書は、1979年に発表された『同時代ゲーム』を平易な言葉で語り直した作品であるとされていますが、作者が生まれ育った四国の…

マルクス エンゲルス『共産党宣言』

マルクス エンゲルス 大内兵衛・向坂逸郎訳 『共産党宣言』 岩波文庫 マルクス(1818-1883)とエンゲルス(1820-1895)による『共産党宣言』を読了しました。「ヨーロッパに幽霊が出る」という有名なフレーズで始まる『共産党宣言』ですが、これまでの社会の…

サルマン・ラシュディ『真夜中の子供たち』

サルマン・ラシュディ 寺門泰彦訳 『真夜中の子供たち』 岩波文庫 サルマン・ラシュディ(1947-)の『真夜中の子供たち』を読了しました。本書の主人公であるサリーム・シナイと同じく1947年にインドのボンベイで生まれたラシュディは(ただしその日時につい…

『対訳 ブラウニング詩集―イギリス詩人選(6)』

富士川義之訳 『対訳 ブラウニング詩集―イギリス詩人選(6)』 岩波文庫 『対訳 ブラウニング詩集―イギリス詩人選(6)』を読了しました。19世紀に活躍したイギリスの詩人ロバート・ブラウニング(1812-1889)の作品が、英語と日本語の対訳形式で40作品収録…

ピエール・ルメートル『わが母なるロージー』

ピエール・ルメートル 橘明美訳 『わが母なるロージー』 文春文庫 ピエール・ルメートル(1951-)の『わが母なるロージー』を読了しました。カミーユ・ヴェルーヴェン警部を主人公とする作品は三作品で完結していたはずなのですが、いわば番外編のようなかた…

ロマン・ロラン『ベートーヴェンの生涯』

ロマン・ロラン 片山敏彦訳 『ベートーヴェンの生涯』 岩波文庫 ロマン・ロラン(1866-1944)の『ベートーヴェンの生涯』を読了しました。大河小説『ジャン・クリストフ』の作者であるロマン・ロランは多くの伝記作品も残しているのですが、その代表作のひと…

ロバート・A・ハインライン『月は無慈悲な夜の女王』

ロバート・A・ハインライン 矢野徹訳 『月は無慈悲な夜の女王』 ハヤカワ文庫 ロバート・A・ハインライン(1907-1988)の『月は無慈悲な夜の女王』を読了しました。ヒューゴー賞を受賞したハインラインの代表作のひとつとされる長編小説で、原題は“The Moon …