文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

有栖川有栖『捜査線上の夕映え』

有栖川有栖 『捜査線上の夕映え』 文藝春秋 有栖川有栖の『捜査線上の夕映え』を読了しました。一時期、テレビドラマにもなっていたようですが、犯罪社会学者の火村英生を主人公とするミステリー小説の最新長編作品です。新型コロナウイルス渦中の事件が描か…

マイクル・コナリー『汚名』

マイクル・コナリー 古沢嘉通訳 『汚名』 講談社文庫 マイクル・コナリー(1956-)の『汚名』を読了しました。ハリー・ボッシュを主人公とするシリーズ小説作品です。第何作目にあたるのかは分からなくなってしまいましたが。原題は“Two Kinds of Truth”です…

川上弘美『蛇を踏む』

川上弘美 『蛇を踏む』 文春文庫 川上弘美の『蛇を踏む』を読了しました。1996年の第115回芥川賞受賞作である表題作に加えて、「消える」、「惜夜記」の三編の作品が収録されています。物語の寓話性をメタ的に意識しながら、それでいて日常に溶け込む(一次…

モンテーニュ『エセー』

モンテーニュ 原二郎訳 『エセー』 岩波文庫 モンテーニュ(1533-1592)の『エセー』を読了しました。言わずと知れた「エッセイ」というジャンルのもととなった作品です。ただ、内容としては日常的な随想というよりは、政治、社会、詩に関するテーマが多く、…

ウィリアム・シェイクスピア『テンペスト』

ウィリアム・シェイクスピア 小田島雄志訳 『テンペスト』 白水Uブックス ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)の『テンペスト』を読了しました。以前「あらし」という邦題で新潮文庫にて読んだ記憶があるのですが、それ以来の読書となります。昔に読ん…

カート・ヴォネガット『スラップスティック』

カート・ヴォネガット 浅倉久志訳 『スラップスティック』 ハヤカワ文庫 カート・ヴォネガット(1922-2007)の『スラップスティック』を読了しました。1976年に発表された長編小説です。本書では、主人公であるウィルバー(プロローグにはめ込まれた「枠」を…

チャック・パラニューク『ファイト・クラブ』

チャック・パラニューク 池田真紀子訳 『ファイト・クラブ』 ハヤカワ文庫 チャック・パラニューク(1962-)の『ファイト・クラブ』を読了しました。デヴィッド・フィンチャー監督のもとブラッド・ピットが主演して大ヒットした映画については、私は未視聴だ…

ヘニング・マンケル『背後の足音』

ヘニング・マンケル 柳沢由実子訳 『背後の足音』 創元推理文庫 ヘニング・マンケル(1948-2015)の『背後の足音』を読了しました。刑事ヴァランダーを主人公とするシリーズ小説の第七作目にあたる本書は、本国スウェーデンでは1997年に刊行されています。私…

L.A.ポール『今夜ヴァンパイアになる前に【分析的実存哲学入門】』

L.A.ポール 奥田太郎・薄井尚樹訳 『今夜ヴァンパイアになる前に【分析的実存哲学入門】』 名古屋大学出版会 L.A.ポールの『今夜ヴァンパイアになる前に【分析的実存哲学入門】』を読了しました。著者は、本書カバー裏に記された略歴によれば、ノースカロラ…

大江健三郎『「自分の木」の下で』

大江健三郎 『「自分の木」の下で』 朝日文庫 大江健三郎の『「自分の木」の下で』を読了しました。1999年から2000年にかけてのベルリン自由大学で講義を行っていた時代に、現地の日本人学校で子どもたちに話して聞かせたという文章が基になったという「なぜ…

スチュアート・ダイベック『シカゴ育ち』

スチュアート・ダイベック 柴田元幸訳 『シカゴ育ち』 白水Uブックス スチュアート・ダイベック(1942-)の『シカゴ育ち』を読了しました。文学研究者で翻訳家でもある柴田氏が「これまで訳した中で最高の一冊」と述べている作品(それがいつの時点のことな…

スティーヴン・キング『IT』

スティーヴン・キング 小尾芙佐 『IT』 文春文庫 スティーヴン・キング(1947-)の『IT』を読了しました。二度にわたって映画化もされた、文庫本にして四巻の分量となる大作ですが、内容的にもキングの代表作と呼ぶのに相応しい内容となっています。27年前の…

ハンス=ヨアヒム・シェートリヒ『ヴォルテール、ただいま参上!』

ハンス=ヨアヒム・シェートリヒ 松永美穂訳 『ヴォルテール、ただいま参上!』 新潮社 ハンス=ヨアヒム・シェートリヒ(1935-)の『ヴォルテール、ただいま参上!』を読了しました。旧東ドイツ出身の作家であるシェートリヒの歴史小説作品です。フランスの思…

シンクレア・ルイス『本町通り』

シンクレア・ルイス 斎藤忠利訳 『本町通り』 岩波文庫 シンクレア・ルイス(1885-1951)の『本町通り』を読了しました。セオドア・ドライサーやウィル・キャザーよりは10歳ほど年下で、そしてフィッツジェラルドやヘミングウェイよりは10歳ほど年上という世…