文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2023-01-03から1日間の記事一覧

J・K・ユイスマンス『さかしま』

J・K・ユイスマンス 澁澤龍彦訳 『さかしま』 河出文庫 J・K・ユイスマンス(1848-1907)の『さかしま』を読了しました。ユイスマンスはゾラの門下グループとしてそのキャリアを出発しながら、やがてゾラの提唱する自然主義を離れて19世紀末特有の厭世観…

フィリップ・K・ディック『ヴァリス[新訳版]』

フィリップ・K・ディック 山形浩生訳 『ヴァリス[新訳版]』 ハヤカワ文庫 フィリップ・K・ディック(1928-1982)の『ヴァリス』を読了しました。カバー裏に書かれた粗筋などから、本書が問題作という位置づけであることは知っていたのですが、読み進める…

赤川次郎『薄紫のウィークエンド』

赤川次郎 『薄紫のウィークエンド』 光文社文庫 赤川次郎の『薄紫のウィークエンド』を読了しました。シリーズ四作品目で主人公は18歳の高校三年生となっています。主人公をはじめとする登場人物にもいくつかの事件が起こっていて、この頃には作者は本シリー…

有栖川有栖『論理仕掛けの奇談 有栖川有栖解説集』

有栖川有栖 『論理仕掛けの奇談 有栖川有栖解説集』 角川文庫 有栖川有栖の『論理仕掛けの奇談 有栖川有栖解説集』を読了しました。作者が他の作家のミステリ作品に寄せた解説を一冊の本にまとめたものが本書で、そのいくつかの文章は以前に読んだことがあっ…

赤川次郎『三毛猫ホームズの追跡』

赤川次郎『三毛猫ホームズの追跡』 角川文庫 赤川次郎の『三毛猫ホームズの追跡』を読了しました。国民的なと形容しても差し支えないと思うのですが、超人気シリーズの第二作目にあたる作品です。主人公の妹に恋する石津刑事、そして主人公の上司である栗原…

マイクル・コナリー『素晴らしき世界』

マイクル・コナリー 古川嘉通訳 『素晴らしき世界』 講談社文庫 マイクル・コナリーの『素晴らしき世界』を読了しました。原題は“Dark Sacred Night”なのですが、「暗く聖なる夜」という邦題の別作品が既に存在(原題は“Lost Light”)していて、これは何とも…